事故のあと

夫はずっとうなだれていた

 

思わず自死してしまうのではないかと

横について慰め続けていたが

私の精神も限界を迎え

 

「家族4人で無理心中しよう」と言った

しかし、夫は首を縦には振らなかった

 

死ぬ勇気はないとぽつんと言った

 

亡くなったのが1人なのに対して

4人も死んでしまったら

あまりにも割に合わない

 

そして、周りの人にばれたくないと思っているのに

心中してしまっては、事故のことが明るみに出てしまう

 

そう思って何とか心中は思い留まった

 

しかし、いつか新聞に実名が報道されるのではないか

ばれたら家の壁にひとご○しと書かれるのではないかという

恐怖心はなかなか拭い去れなかった

 

私は何もしていないのになぜこんな目に遭わなくてはいけないのか!

離婚したい!という気持ちになったのも

1度や2度ではない

 

事故の次の日から

夫は会社を休んでいた

私が仕事をしている間は夫を見張ることはできない

ある日、帰ってくると

壊れた洗濯干し場を修理していた

 

 

 

こいつ、生きる気満々やな!と思った