主人が葬儀会場に到着すると
その質素さに驚いたそうだ
土地柄なのか、葬儀費用を倹約したのか
それはわからない
主人の地元や、私の祖父の葬儀と比べると
寂寥感が感じられたそうだ
葬儀ではコロナ禍ということもあり
少数の親族と被害者Aさんの勤めていた会社の社長などが来ていた
Aさんの親族に対して
土下座をして謝罪したそうだ
Aさんのお兄さんが
「なぜこんな事故がおこったんだ」と怒鳴ってきたらしい
出向先での事故だったので
地元の新聞に掲載されていなかったので
詳細もわからないと怒っていたとのこと
それはそうだろう
申し訳ない気持ちでいっぱいになった
葬儀のあいだ
主人の嗚咽だけが響いており
他に泣いている人はいなかったそうだ
結局、葬儀で社長は
一言も謝罪を口にはしなかった
怒っていたAさんのお兄さんも
最後には肩をたたいて
「まあこれからもがんばれ」と言ってくれたらしい
事故直後
主人を責めた人はこのお兄さんだけだった
十二天のmy Pick