リアルタイムのお話ではありません。

過去に夫が起こした事故について書いています。

被害者やそのご家族を冒涜するものではありません。

加害者の妻が感じたことなどを綴っております。

ある事情で特殊な事案となっていますが

突然家族が事故を起こして途方に暮れている方へ

何かしら参考になればと思います。

一部不快な表現、直接的な言葉があります。

ご自身のご判断で読み進めてください。

苦手な方はお戻りください。

 

 

 

つづきです。

 

 

警察署に着き駐車場に車を停める。

車が2、3台停まっている。

ここに来たところでどうなるものでもないことは

わかっていた。

わかっていたが、何もしないではいられなかった。

 

 

 

この警察署には足を踏み入れたことがなかった。

そのまま帰ろうと思ったが

折角来たのだからと入ってみることにする。

夫がいる空間を少し共有したいような気持ちがあった。

 

 

入ってみると、古い建物で

すえたカビの臭いのするようなそれであった。

 

 

それほど広くはない室内は

受付があり、その奥にはデスクがいくつも並び

何人かの職員が働いている。

奥の行き止まりのドアに

取り調べ室と書かれてあった。

 

この奥に夫がいる。

 

 

すでに事情聴取が始まって

3時間ほどが経過したであろう時刻だった。

 

「いつ事情聴取は終わりますか?」

 

そんなことは聞けるわけもなかった。

なすすべもなく

警察署をあとにするしかなかった。

 

 

子供を迎えに車を走らせる。

 

世界が変わっている

いま、目の前にいる人たちは

誰も夫が人を死なせていない。

人を死なせてさえいなければ

どんなことがあっても

幸せなのではないかと思えてくる。

 

 

つづきます