みちのくの小京都 〔弘前] の町・第二弾は、繁華街に多く残る、明治期の歴史的建造物を中心に、町を歩きます。弘前市が [趣きのある建物] に指定している建物は、40棟(重要文化財は別)で、今回はその約半数を訪ね歩きました。

 

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《青森銀行》

「旧第59銀行」の本店として、明治37年に建設、設計施工は弘前の名工・堀江佐吉。昭和18年に合併により、青森銀行となり、移築、記念館として公開されています。欅(けやき)材を使ったルネサンス風建築は荘厳さと温かみを併せ持った、不思議な魅力に溢れています。

 

 

《弘前昇天教会》

イギリス国教会の系譜にある「日本聖公会」所属のプロテスタント教会。大正10年、立教大学の校長を退任し、各地の教会を手がけたジェームズ・ガーディナーが設計。朝夕に鳴り響く鐘を備えた尖塔を備えた、ゴシック調の赤レンガ造りは異国情緒たっぷりです。

 

 

 

《日本基督教団・弘前教会》

1875年東北最古のプロテスタント教会として、東奥義塾々長の本多庸一が「弘前公会」を設立したメソジスト派の教会堂です。彼は初代牧師として奉仕、建物は1875(明治40)年、堀江佐吉の息子が建造。様式はフランスゴシック風、アイボリー色の双塔形式の木造建築です。

 

 

《保村打刃物製作所》 

旧羽州街道沿いにある煙突が目印の渋い家屋です。さびない牛刀包丁などを製作する津軽打刃物職人の店です。

《小野金商店》

大通り(旧羽州街道)沿いにありますが、奥が広い大型の家屋です。窓の縦格子が特徴的な、昭和初期創建の藁の加工場でした。

 

 

《一戸時計店》

町の人々に愛されている、円錐屋根の時計台。メルヘン風の可愛い姿が繁華街に映えます。

 《名曲 珈琲 ひまわり》

昭和34年開店以来、展示会やコンサートなど、文化の発信地として信頼されている喫茶店を超えた場所です。

 

 

《三上ビル》 

(旧弘前無尽社屋)昭和2年創建、弘前で二番目に古い鉄筋コンクリート製ビルで、四階部分が後年、木造で増築されています。面取りされた角地に[三上ビル]の掲示、三階窓上部の歯形装飾が特長的になっています。

《田中屋》

明治30年創業、120年の歴史を誇る津軽塗の製造・販売店。訪問時(2017年8月末)、閉店の貼り紙が出ておりました。

 

 

《小堀旅館》

入母屋の大屋根と高い位置にせり出した軒が特長の老舗旅館。明治の創業で、この地への移転は昭和三年。内部の調度品も見ごたえがあり、現在も、営業中の人気旅館です。

 

 

《高砂そば》 

棟方志功のお気に入りとしても有名で、見事な門構えの老舗の蕎麦屋。現在も人気店として愛されています。人気は天ぷらそば。

  

 

 《弘前カトリック教会》

明治43年竣工、堀江佐吉の弟・横山常吉が施工した、ロマネスク様式の木造建築。聳え立つ尖塔の外観、内部の高い天井に、祭壇脇を彩るステンドグラスの見事な内観です。

 

 

《石場旅館》

明治12年創建後、何度も増改築。弘前で最古の旅館建築です。 黒塗りの付け梁と白い漆喰壁が織りなす見事なコントラストの外観、現玄関役の人気旅館です。

 

 

《旧杉山醫院》

明治初期に建てられた和風の母屋、その前に洋風の病院を増築したのは昭和20年代だそうです。

 

《旧第八師団長官舎(弘前市長公舎)》

大正6年創建、登録有形文化財にして現在は「世界一美しいスターバックス店舗」等とも呼ばれています。堀江佐吉の長男・堀江彦三郎の設計で、大正時代のハイカラ・モダンな建物は内部も綺麗に飾られています。

 

 

《旧藤田家別邸》

大正10年創建、弘前市出身の日本商工会議所会頭を務めた藤田謙一の邸宅。

大正ロマンあふれる、メルヘンチックな趣の洋館はまるでアニメの夢の国。しかし、屋敷の門や広大な和風の庭園や、内部には資料館も備え、貴重な観光施設となっています。

現在はカフェとして、市内6店のアップルパイが食べ比べできるという趣向で、人気のスポット。カフェの詳細はこちら。お隣には昭和12年竣工の和館が移築されている。

  

 

《茂森会館・消防西第一分団屯所》 

昭和11年の創建、禅林街入口の枡形に位置し、赤い屋根と望楼付きの洋風デザインが素敵な洋館です。(下記写真・左)

《正進会館》

明治初期、歩兵第三十一連隊の将校集会所として建築された建物で、青年会館として当地に移築されています。訪問時、状態はとても悪く修繕を要する感じでした。(下記写真・右)

 

 

《加藤味噌醤油醸造元》

明治4年創建、立派なこみせ(雁木)に朱色の屋根、数少ない金文字看板が見事な味噌蔵です。正面からは見えませんが、背後には大きな貯蔵庫が建っています。

 

 

《田澤刃物製作所》

創業100年、レトロな親子煙突がランドマークになっている、昭和5年創建の工場です。市内には創業120年の「三国打刃物店」もあり、りんご剪定鋏を代表にとする刃物打ちは弘前を支える重要な産業となっています。

 

 

《旧町田家住宅》

明治30年代後半の創建の旧商家。平入の切妻造りの屋根、カラー鉄板横葺き(一部立平葺き)、外壁は当初、土壁下地の漆喰塗で、一部を加工がなされています。どこか金沢の茶屋街を思わせる、趣深い建物です。

 

《よしや質店》

幅四尺のこみせ(雁木)を備え、店先と二階には格子、暖簾が一体とされて設置された、明治創建の商家です。

 

 

«弘前銘醸・レンガ倉庫»

大正七年創業の倉庫で、美しい赤レンガの倉庫が並びます。会社は昭和七年の設立、六花酒造で製造した清酒を販売しています。当初あった八棟のうち四棟が現役として活躍中。

 

 

《旧制弘前高等学校教師館》

大正14年の創建、一階部分の板張りは英国調の鎧下見板張に、両開き窓を備え、二階部分はモルタル塗に上下開閉の窓と、意匠を凝らした欧風建築です。

 

 

さて、次は市の認定はありませんが、更に弘前の魅力的な風景を追いかけます。