秘め事 | Oh~yeah!的、毎日。

秘め事

人には皆、他人には知られたくない秘密がある。




ある人は、お酒がないと安心できない。



例えそれが仕事中であっても…




またある人は、夫に隠れてパチンコに興じている。




明日にも届くだろう消費者金融からの督促状を夫の目に触れさせないようにすることを忘れそうになりながら。





外からでは、わからない秘め事が幸せを取り繕う家庭にはあるのである。






専業主婦の泰子にもそれはあった。



遅く帰宅した夫から今日、街で見かけたと言われた時、ギクリとした。




すぐに『他の人と見間違えたんじゃないの。』と答えると、夫は特に疑問を持たず『そうか。』と言っただけだった。





まさか、見られたとは。気をつけなければ。



しかし、夫が妻に何の興味もないことが泰子には辛くもあったが。





二人が出会ったのは、もう10年も前。




泰子は当時他に付き合っていた男がいたが、夫からの熱烈な好意に負けた形で付き合い始めたのだった。





一年後には結婚を申込まれ、二人は結婚した。




泰子には理想があった。




いつも互いを尊敬し、感謝をし笑いが絶えない明るい家庭。




現実にそんな家庭は有り得ないと理解したのは結婚後すぐだった。




夫は毎晩帰りが遅く食事はいつも独りきり。




その日の話題を話しても、返ってくる言葉は『そうか。』だけ。




泰子はその内、話すことを止めた。




泰子が次の話し相手に選んだのはお決まりのテレビとなった。




泰子は秘め事がある今の生活を楽しんでいた。





明日は何を来ていこう、そうだ!手土産に駅前のケーキ屋さんに寄って行こうか。




明日のことを思うと、顔が無意識ににやけている泰子を見た夫がにやけている理由を尋ねてきたが『だってこのドラマの俳優かっこいいんだもん』と答えると夫は





『そうか』と言っただけだった。



つづく