対談28『理想論を嫌うから理想が実現しない』
鬱ノ宮高校 番外編Q&A
対談28 『理想論を嫌うから理想が実現しない』
緑子: そんなワケでポスターにしてみたぞ。
七雲: どれどれ。
七雲: でかっ。
あと、絵は使い回しですね。
緑子: それは言わない約束でしょ。
七雲: そんな約束してません。
緑子: 損得でしかモノが考えられん奴は、
善悪で動く人間を、究極のところ理解できん。
だから、「裏に思惑がある」 「パフォーマンス」 「売名行為」 「狂ってる」
としか受け止めきれない。
ところがぎっちょん、世の中には
「損でも正しいほうを選ぶ」人間がいるんじゃよ。
それも少なからずの。
人間全てが損得で動くと勘違いしておる人たちの口癖が、
「それは理想論だよ」 「正論で人は動かない」 じゃ。
まるで卓見であるかのように、ドヤ顔で言う奴がウジャウジャいる。
七雲: ドヤ顔って……ちょっと使ってみたかったんですね。
緑子: うん。
七雲: 私は、そのセリフを連発する人を、人間として評価していません。
あ、ドヤじゃなくて理想論云々のほうですね。
「正論は良くない」
こんな論理矛盾したオカシな言葉が、
まるで金科玉条のようにまかり通ってる状況に、怒りすら感じています。
理想論を嫌うから、理想が実現しないんです。
当たり前じゃないですか。
緑子: この国では理想を小バカにするほうが、
人間的に円満な見識を持ってると、
勘違いしてもらえるからの。
七雲: ところで、逆に、善悪タイプは損得タイプの考え方を理解できるんですか?
緑子: できる。 なぜなら、それは自分が通って来た道だから。
動物は誰しも最初は本能、つまり損得勘定でしか生きられん。
だがある日、それだけじゃない、ということに気づくのじゃ。
七雲: 善悪で判断すると、動物として損はないのですか?
緑子: そう、そこじゃ。
そこが最大のポイントじゃ。
皆そこを間違っておる。
善悪で判断するタイプの人間は、少数といえどもそこら中におったであろう。
そういう人間が、
必ず出世競争に敗れて、
必ず皆に嫌われて、
必ず路頭に迷っておったか?
否、であろう。
逆に、損得勘定に長けて、小さな得を拾うのに汲々としてる人たちが、
みな億万長者や大社長になっておるか?
これも否。
つまり、最終的に得るモノは、どっちのタイプも大差ないんじゃよ。
七雲: なるほど。
緑子: たしかにその瞬間の損得を考えたら、原発補助金をもらったほうが得じゃよ。
原発にも明確に反対しないほうが得じゃ。
だが、善の裏付けのない得は、大抵の場合、
ドーンと後からしっぺ返しが来るものじゃ。
七雲: やっと原発の話が出てきましたね。
緑子: ちなみに損得でなく、
善悪で判断して原発に賛成してる論者も少数だがおろう。
善悪というのは人によって解釈が異なるからの。
だが出て来た結論が真逆だったとしても、
私は損得タイプより善悪タイプの人間が好きじゃよ。
その場その場の損得勘定で、意見がどうにでも転がる奴らより、
自分が良かれと思った道を行く人間は、
たとえ敵だとしても一目置いておる。
七雲: あなたに一目置かれてもねぇ。
なんの得もないですし。
緑子: ……だから。
それは言わない約束でしょ。
