6話「何もしてない奴が批判をするな」 | お疲れさまですね

6話「何もしてない奴が批判をするな」

鬱ノ宮高校の悲劇
第6話「何もしてない奴が批判をするな」



どことなく新撰組を思わせる水色と白の旗。

中央にくっきり浮かぶ一文字は「誠」、
…ではなく「風」


泣く子も黙る鬱高風紀委員会の市中見回りだ。


学校指定のブレザーではない、特注の紫紺の学ラン。
左腕の腕章にはやはり「風」の一文字。



よんこぱろ☆


列の先頭に立つのは風紀委員長であり、
前理事長の孫でもある右田翼


竹刀を肩にかついで、ただ一人胸のボタンをはずしている。






渡り廊下の先には一般の男子生徒が二人。


「トーデン仕事おっそいよなぁー」
「やる気ないんなら お隣のUSA高校
ぜぇ~んぶ任せちゃえばいいのに」


「あ。そー言えば俺、
園芸部の無農薬ホーレン草、好きだったのにな~」
「あぁー。あんだけ化学室に近いともう食べれないよなー」




パシイイイィィィィッ
響き渡る、竹刀で廊下の壁を叩く音。


学ラン姿の風紀委員たちがパラパラッと二人を取り囲む。


「なななななんですかっ」


右田翼は悠然と近づいてくると、
そう言った男子生徒のあご先に竹刀をヒタリと向けた。


批判はするな


「…はあ?」


「今この瞬間も原発事故を食い止めようとして
命を賭けている者がいる」
「え …別にその人たちの批判なんて…」


「いいか。何もしてない奴が批判をするな」
「………」



「それと風評被害も許さん」
「はい?…」


「野菜の放射性物質は基準値以下だと検査結果が出ている。
誤った認識を軽々しく口にするんじゃない」


「…そんな。…で、でも少ないとはいえ検出されてるんでしょ?
だったら、食べる食べないは本人の自由じゃないんですか?
市販の農薬ですら嫌、という人だっているのに」


「黙れ加害者! 貴様らのような軟弱エコ野郎が鬱高を滅ぼすんだ!」



「…ちょ!ちょっと何だよ!その言い方! 

食べなかったら加害者扱いかよ?
この高校を滅ぼしてるのは放射能出してる奴だろが!」



「…な・ん・だ・と?」


「っ……」


翼のひと睨みで男子生徒は黙る。



「おい、こいつらのクラスと名前を控えろ。
それと写真も撮っておけ」


「はっ」
学ランの部下たちが直立して答える。
翼は竹刀を肩に戻すと再び歩き始めた。


「おうおう右田さんに何て口叩いてんだよゴルァ」
「黙って上の言うこと聞けってんだオルラァァ」
「いっぱしに意見すんじゃねえよデメエェラァァ」
「大人しく出されたモンを食ってりゃいいんだよドュルォオラァァァァァァァアアァ」


可哀相な生徒たちを脅す罵声が背中に聞こえる。




鬱高風紀委員会は色んな機会に色んな事を怒鳴り散らしているが、
その色をぬぐってみると言ってる骨子はただひとつ。


お上に逆らうな」…ということ。


いみじくも手下どもの粗暴な物言いがそれを端的に顕している。




翼はひとりつぶやく。
「…ふん、非国民どもめが」





よんこぱろ☆


右田 翼 
(みぎた つばさ)




鬱ノ宮高校2年生。


特注の学ランを着る理事長直轄の治安部隊、
「鬱高風紀委員会」の委員長。





自由や平等が何より嫌いで、
学校の方針に叛旗を翻す者は内容を問わず許さない。


モットーは「絶対服従上意下達」 あだ名は「ウヨク」。

鬱高の左バネが自壊してからは我が世の春を絶賛謳歌中。

長らく独裁者だった前理事長、
右田核栄の戸籍上は孫。


実際は妾腹の実子で、
そのことは本人も承知している。


鬱高内でも極少数しかその存在を知られていない不二原緑子とは
幼い頃からの顔なじみである。


左出身の現理事長との関係は微妙。



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