外資系証券を退職後、不思議なご縁から大学での特任研究員というお仕事をした話の最終回です。

 

お仕事自体はありがたかったのですが、結果的に長くは続かなかったです。

 

 

その理由の一つが、時給制でどんなに収益の高いビジネスを作っても「時給●●円」。

 

それは無理ですと申したら「成功報酬型」にするからお願いと言われ、結局、ビジネスを2つ作ったのに、成功報酬なんてなかった、というのが長く続かなかった理由のひとつです。

 

試行報酬を渡すなんて信じた私もいけなかったのです。

 

 

ただ、大学の教員になるとビジネスの常識が全くないひとがいるから、こういうことが起きます。

 

もし民間の会社で同じようなことがあれば、弁護士をたてて解決するような事例だと思います。

 

 

そして長く続かなかったもう一つの理由は、「公益性」という不思議な言葉です。

 

大学発ベンチャーなので収益事業を目指すわけですが、契約が締結される寸前に「公益性」とかいう一見よさそうなでも分らない言葉が出てきてスムーズにいかなかったんですよ。

 

 

例えば、私がいくつかの企業に提案に行って、交渉して、興味あると言った企業と何カ月も議論して、先方と合意寸前の新規事業があったのですが、、

 

契約のため内部手続きを進めるという時点で、

 

 

「その取引に公益性はありますか?」とかいう人が出てくるんですよ。。

 

へっ⁇

 

慎重な私は、その数カ月間、逐一「報告・連絡・相談」して交渉の場に大学の教授も参加しているのに、

 

「公益性。つまり、このこの取引を、あの企業とだけしていいのですか?ほかの競合他社にも公平に取引してあげるべきじゃないですか?」

 

とか言われて、「へ??何言っちゃてんの?」と返すと、、

 

「つまり、あの企業と締結する契約内容を、同じ業界の競合他社全てに明かして、同じ条件でやりませんか?とお誘いするのは公益性の観点から必要です」

 

とか言われちゃってのけぞったんですよ。。

 

信じらんない、、

 

だって、個別の企業取引契約なんて企業秘密で守秘義務があるのに、

 

競合他社に明かして、教えてあげるなんて、ビジネスの商常識からかけ離れているじゃないですか。

 

もちろん事前に守秘義務契約も締結してあるし、ビジネスの仕組みを一緒に考えたその会社は、競合他社との差別化を図るために「よし、一緒にやろう」と合意したのに、

 

契約する段階で、秘密を全部、他の会社にばらしましょう、それが公益性です。

 

なんならその契約書をHPに張り付けて、興味ある企業を募るのもいい考えですね。

 

な~んておっそろしいことを言われるので、ついていけなかったです。

 

平気で不思議なこといわれて、、毎回、「あ~、もうやってらんない」となってたのです。

 

 

私の経験から、大学発ベンチャーが上手くいかない理由は山ほどありますが、こういった異文化の違いをまずは大学側が受け入れないと収益事業を手掛ける企業側は付き合いきれないだろうなと思いました。

 

でも、ほろ苦い面白い思い出ばかりです。。