准一さんと初めての海で、テンションが上がり
ついつい子供みたいにはしゃいでいた


二人で乗れる大きなエアーマットでプカプカ浮かんでいたり

彼の背中に掴まり亀の親子のように泳いだりはしゃぎまくった・・・





「准一さん凄〜い♡…」





「…ちょ…ダメ!……暴れたら……沈む……」




「准一さんなら大丈夫〜♡」



「……だ、大丈夫…じゃな〜い!………」






広い背中は、とても頼りがいがあって、何が有っても沈まない…という安心感が有って、ついつい、ちょっとだけ調子に乗ってしまった




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暫く、彼の背中に掴まりながら泳いでいると




「はい、ちょっと休憩」



と、彼の背中から、いきなり降ろされた




「…っ…えっ?!……ちょっと…まって……深いっ…」




海底に足が着くと、意外と深くて
首のところまで沈んで
プチパニックの私は、慌てて彼の首に抱きつく私…




「ハハハ…大丈夫だよ…」



そう言って私の体に腕を回し、しっかりと抱きとめてくれてホッとしたけど、明らかにわざとなのは分かっていた





「もぉ〜大丈夫じゃ無いっ!」




「ンフッ…し・か・え・し〜♪」…チュッ♡



拗ねて尖らせた唇にいきなりキスされて
後は笑うしかなくなった




「冗談抜きで、少し休憩しようか?
喉かわいたし……………………」


再び、私を背中に掴まえさせると、砂浜に向かって泳ぎだした…

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「はぁ〜疲れた〜」


「あれ?…ずっとここに捕まってたのに?」




彼は、自分の肩をトントンと叩きながら、ニヤリと笑った




「…捕まってるのも…
意外と疲れるんだからね…」






「アハハ …また拗ねる…
あ、俺…飲み物買ってくるから、待ってて…」






荷物を置いているパラソルに戻ると、彼は飲み物を買いに走って行ってしまった







(はぁ〜…楽しかった〜♪海に入ったのって何年ぶりだろ?)




彼を待ちながら、海を眺めていると



不意に強い風が吹いて、荷物の上に置いてあった帽子が飛ばされた





「…っあ…ダメ…」




慌てて追いかけると、コチラに歩いてくる二人の男性の1人が捕まえてくれた





「はい!どうぞ………

あれ?…日本…人?」





「ありがとうございます
はい、昨日、東京から来ました」




「へぇ~…俺達は2日前に来て、明日には帰っちゃうんだ………
ところで、一人?…じゃないよね?」



「はい、二人で…」




「じゃあ良かった…俺達と遊ばない?」




(えっ?……遊ばない?って、どういう事…)



(彼氏と一緒なのに、ナンパって事は無いよね…)





現状を把握しようと、色々考えあぐねていると





「友達は何処?…パラソルは?」




二人に両サイドから挟まれ肩を掴まれ歩きだした

(どうしよぉ〜……准一さん……)


見渡しても准一さんの姿は見えず、怖くなった…





「あ、あの…友達じゃなくて…」



「え…まさか、彼氏とか言わないでよ…」



アハハハハ・・・・





「その、まさかだけど…この手はどう言うつもりだ?…」




低く、力強い声に振り返ると、准一さんが、私の肩に置かれた男性の手を掴み上げ、睨んでいた




「…っててて……何すんだよ!!離せ…」




彼は、力を緩めずに、口を真一文字に結んで
ジッと睨んでいる…




「…っのやろ〜!…離せっ…ってんだろー!」




男性は、空いてるほうの手で掴みかかろうとした…


すると、次の瞬間!

男性は、准一さんの下にねじ伏せられていた



(えっ……何が起きたの?)



あまりに早くて、何がどうして、こうなったのか?全く分からない!







「すみません!…彼氏が居るなんて思わなくて…」




「…俺もすまなかった……いきなり腕、掴んで…」



もう一人の男性が慌てて謝ったところで、准一さんも謝り、手を緩めた






「でも、むやみに ナンパなんか すんなよ!」




その場を離れる二人に、准一さんが声をかけると、二人は振り返って頭を下げて走って言ってしまった。








「かず…」


「…は、はい!…ごめんなさい…」


「謝らなくてもいいけど…どうして直ぐに“彼氏と一緒”だって言わなかったの?」





彼は、落とした飲み物のグラスを拾いながら、静かに聞いた  




私は、帽子が飛んだところから、なるべく詳しく話した




「そっか………それじゃあしょうがないか……でも、気をつけろよ。

取りあえずもう一度飲み物買って来なきゃ……
今度は、一緒に行こう」





私は、頷いて、差し出された彼の手を握った。