「准一さん…やっぱり、最初に見たあのネックレスにしようと思うの…だから、もう一度、あのお店に寄ってもイイ?」



「ん…俺も、あれが一番似合ってると思う」




わがまま言って、あちこち見て廻ったけど、結局、一目惚れした物が一番だった








「・・・やっぱり、これが一番好き♡」




最初に見たプルメリアの花をデザインしたネックレスを持ってレジへ行こうとすると、私の手のひらに乗せたネックレスがフワッと、取り上げられた




「あ…」


「プレゼントさせて」




准一さんは、キョトンとする私をおいて、ニッコリ笑いレジの方へ行ってしまった






(もしかしたら、最初からそのつもりで、私が本当に気に入った物を選ぶのを待ってたのかしら?)





「はい、どうぞ」




少し離れた場所で、何気にそこら辺の物を触りながら待っていた私の目の前に、小さな包みを差し出した





「ありがとう」



私は嬉しくて、その包みを胸に当てお礼を言うと・・・



「そろそろ、行かないと……夕陽
間に合わないよ…」



彼は、再び私の手を握ると、歩きだした










アラモアナセンターの外に出ると大陽は西の空に傾き始めていた





「マジックアイランドまで…歩いて15分くらいだけど・・・大丈夫?」



「うん…大丈夫!」




結構疲れていたけど……准一さんと一緒だから、全然へいき!
それに…手を繋いで歩く方がイイな…と思い
笑顔で頷いた








マジックアイランドは、アラモアナセンターからわりと近く、夕陽スポットとして人気の場所らしい



アラモアナビーチパークに入り、約15分程の散歩道



水平線へ向う大陽を追いかけるように
おしゃべりをしながら歩いた







そして、目の前にマジックアイランド・ラグーンの砂浜が見え




その向こうに、水平線に近づく真赤に染まった大きな夕陽が、視界に広がった






「すご〜い…おっきぃ〜・・・」




建物や雲に邪魔されず、視界いっぱいの大きな夕陽は見た事が無かったから、感動しまくりで、思わず駆け出していた





「准一さん!見てみて…凄い綺麗…」



と、振り返ろうとすると、後ろから逞しい腕が、私の腰に巻きつかれ
頬にキスされた





「本当に綺麗だ・・・
かずと一緒に見れて良かった」





「…私も…

連れてきてくれて、有難う…」




とても幸せな気持ちで、背中の温もりに身を預けた





「もう少ししたら、もっと綺麗だよ…」




准一さんの、少し鼻にかかる甘い声が、私の耳をくすぐり更に幸せな気持ちになる







砂浜や海岸の見える芝生エリアには、何組かのカップルや、家族連れがいたけど、それぞれ気にならない距離でそれぞれの時間を過ごしているようだった





私達は、芝生エリアのヤシの木の下に腰を降ろし、水平線に身を沈めようとする夕陽が
空と雲を濃いオレンジ色に染めていくのを眺めていた




「沈むの…早いなぁ…」


「ホント…そんなに急がなくてもいいのにね…」


「ハハハ・・・そうだね」



彼は、そう言いながら、私の後に回り
私を両足で挟むように座った







やがて、夕陽が半分程沈んだ頃




「さっきのネックレスは?」



「あ、そうだ…着けてみようかな?」




私は、バッグからカレに貰った包みを出し、包装を解いて細長い箱を開けて見た




「えっ!?………これ、間違えて入っちゃったのかしら?」




中には、私の選んだネックレスと、同じプルメリアの花のピアスが入っていた




「直ぐに返しに行った方がよいのね?」





「その必要ないよ」



「でも…これは…」



「返さない!…だって、これは…
かずの物たから」




准一さんは、ネックレスを手に取ると
私の首に巻き金具を留め…
長い髪は准一さんの指ですかれ耳にかけられ
着けていたピアスは外された





「コレは、俺がかずの為に選んだんたから…

着けてごらん」




(もしかして…支払いの時に………)




あの時の状況を思い出して全てを把握した



私は、箱の中から、ピアスを取り出し
手探りで着けてみると
耳たぶにピアスの重みを感じた




「うん…似合ってる」



私の肩を横にずらし覗き込み
目を細めた



「ズルイ…見えない…」

(それに…顔、近い…)



細められた目から除く瞳に
長い睫毛がとても優しくて
胸の奥でキュンと音が鳴ったのを聞いた




「俺が、似合うって言うの…信じられない?」


「信じる……」




(でも、やっぱり…そう言うのって、ズルイ♡)
と、思ってしまうけど、やっぱり幸せがこみ上げて来てしまうし
頬が緩むのは止められなくて、ニッコリ微笑むと、軽くキスされ

再び彼の胸に戻され

優しく回された腕の中で、沈み行く夕陽を眺めていた。