大きなショッピングモールは、目を引く物が沢山あり過ぎて困る


どれを見てもみんな素敵で欲しくなるばかり………


そんな中、このオアフ島に来た記念に、自分の為の物を一つ買おうと決めていた

その旨は准一さんにも伝えていたから、私の入りたいお店に、何も言わず付き合ってくれた


「わぁ〜綺麗♡
准一さん、ここ……いい?」



ハワイアンアクセサリーのショップの前で足が止まり“見たい”と意思表示をすると・・・



「もちろん…」


彼はニッコリ笑って私の後について店の中へ・・・




店内には、目移りするほど、素敵なものがいっぱいで、アレコレ手に取って見た。

その中で、とても可愛いネックレスを見つけたものの、最初で決めてしまうのももったいない気がして、迷っていた


すると、准一さんが顔を寄せて
『他の店も見てみようか?』と囁いた



(顔…近っ……)

大好きな横顔が熱を感じる程近くに有ってドキッ♡
としてしまう



「…うん、そう…しようかな。」



准一さんの提案に乗り、他のお店も見てから決める事にして、手に持ってたネックレスを元の場所に置いた。










雑貨屋さんから、ハワイアンファッションのお店・・・


気になったお店には片っ端から入ってみた





ワクワクして連なるショーウィンドウに視線を泳がせ歩き廻る私・・・



ふと気づけば、隣に彼が
居ない!



キョロキョロしながら、後ろを振り返ると、ポケットに手を入れ、笑顔で私を見る彼がいた





「ごめんなさい……あちこち連れ回しちゃって」




「ぜ〜んぜん平気……むしろ楽しくてしょうが無いよ」




「ホント?……無理してない?
『女の買い物ってめんどくせー』…なんて思ってない?」




「ははは……ナイナイ!女性の買い物に付き合ったのなんて初めてだし、凄く新鮮だよ… 
それに、かずのこんなウキウキした顔も見れて得した気分♡」





そんな優しい彼が私の手を取り歩きだした





「どこ行くの?」

「ちょっと疲れたから、休憩」



そう言えば、ずっと歩いていたから少し、足がだるくなっていた

私は、彼に手を引かれながらついて行くと
フードコートのアイスクリームのお店の前に来た




「ん〜……俺、コーヒー味にしようかなぁ……
かずは?」


「ど〜しよ〜・・・どれも美味しそうで迷っちゃう」



「ふふっ・……かずは優柔不断だな!」



「だって〜目移りするくらい色々あり過ぎるから…」



自分は、割と決断が早いと思ってたけど、時と場合いによってはかなりの優柔不断になる事を改めて自覚した



色とりどり並ぶ写真に視線を右往左往させていると、ふいに店員さんが声をかけた




「おくさん♬…マンゴー味、人気ですよ〜」


(えっ!?……今、奥さん…って言った?)





「あ、あの……おくさんじゃ…」


私は、慌てて訂正しようとすると、耳を真っ赤にした准一さんが振り返った




……マンゴーに……する?」

「え?……あ、………あの、はい…」

「じゃあ………コーヒーと、マンゴーで……」




彼は、“奥さん”を訂正する事なく、二人分のアイスクリームを注文した。






私達はちょっと緊張気味にアイスクリームを受け取ると近くのベンチに座った




(准一さん…絶対、聞いたよね?)


(でも、どうして「違う」って言わなかったんだろ?……)




私は、気になって思い切って聞いてみた






「……准一さん………あの………………」






「ん……何?」




彼は、キョトンとした顔で振り返った




「さっき…店員さんが………………………………」




「ん………何か俺達、夫婦って思われてたみたいだね……」




彼は、ニコニコしながらアイスクリームをペロッと舐めた






「准一さんは…どうして……」



「どうして『違う』って言わなかったか?……でしょ?」



私は、黙って頷いた



「別に…そう見えるなら、それでもいいかな?って……

あ、ごめん…勝手に、そういう事にしちゃって……嫌…だった?





「ううん…全然…ちょっと、嬉しかった…」





「俺も………何かくすぐったいって言うか…結婚したら……こんな感じかな?って…」




私の頭に、“結婚”の二文字がぐるぐる回り、言葉を探していると、彼の言葉が降ってきた






「あっ!かず…アイスクリーム、溶けちゃうよ」


「わぁ〜…やだ!…垂れてきた…」





私は、指に付いたアイスクリームをペロッと舐め、テッペンを一口かじるとマンゴーの甘酸っぱい味と香りに包まれた



「美味し〜♡」



すると、隣に座る彼の手が、アイスクリームを握る私の手を掴み私のアイスにかぶりついた



「あ〜俺もコレにすれば良かった!」



「じゃあ交換する?」



「二人で両方食べればイイ♡」




私達は、一口食べる毎に手を交差しながら二つのフレーバーを楽しんだ♡