(えっと………何処にいるんだろ?)


学生時代の友人…まさみと会う為に

1階のロビーに降り、目の前を歩く人をかわしながら懐かしい顔を探した




すると、手に持ったスマホが鳴り、画面は“まさみ”からの着信を知らせていた



「まさみ、何処にいるの?」



『こっちこっち…』



見渡すと、スマホを耳に当て手を振っている、褐色の肌に長い髪の女性を発見!




「ま…さみ?」



『もぉ~当たり前じゃないのぉ〜どっからどう見ても………って、ちょっと変わったかな?』




と、太陽のように笑うまさみは、学生時代の頃の白い肌は日に焼けた褐色美人になり、タンクトップにハワイアンな巻スカートが凄く似合っていた。



学校を卒業した後、ダイビングにハマった彼女はこのオアフ島のダイビングショップでインストラクターをしている




「うん、ちょっと変わったけど、今の方がイイ♬」



『ありがとう…和(なごみ)は、良い意味で全然変わらなくてホッとしたわ………』




まさみはそう言ってハグすると、ハッとしたように体を離し、ちょっと離れて私を見た



『ん〜、でも…
だいぶ……大人っぽくなった…かな?
ふふっ……イイ恋してるんだね』




「えっ?…………うん、まぁ……」



私は、ちょっと照れくさくて、口元を緩ませ頷いた



まさみは、いつも一緒にいたからか、私の精神状態や、体調など、自分で気が付かない事にも気が付いて優しく気遣ってくれたから、恋をしている私の変化に気づいたのだろう




『それで、此処には彼氏と一緒に来たんでしょ?』




「うん………初めての旅行」



『で、どんな人?』



私達は、ロビーの片隅に有るカフェに場所を移し、私は、准一さんとの出逢いから、これまでの事を夢中で話した





会社の上司で、一見堅物そうで怖いイメージだったけど、実は穏やかで優しい
正義化が強く、面倒見が良い

そして、私の事をとても大切に思ってくれてる………


など、ほぼノロケでしかない私の話しを、まさみはニコニコしながら頷き聞いてくれた




「あ、ごめん…私ばっかり喋って………」




『…ホ〜ント♡妬けるくらいノロケちゃって……
熱いマウイが更に熱くなっちゃったわ♡
でも………良かったね♡
良い人にめぐり逢てて…』


「うん…」


『ねぇ……もしかして、会社には内緒で、人に話した事、無いでしょ?』




「えっ?!…どうして分かったの?」




『ん……だって和ったら、思いっきり話したくてしょうが無かった…って感じなんだもの』




そう、会社では内緒……
会社以外の友達には、彼氏が居るって事くらいしか話して無い。
誰かに准一さんとの事を話したくても“内緒”と言うワードが私の口をロックしていたのだ

まさみは遠く離れてるし、誰よりも私の事を分かってくれてる人だから、安心して、ロックを外す事が出来た




それから暫く、私達は思い出話しや互いの近況を吐き出す様に語り合った・・・







『あ、話し込んじゃってごめんね。
彼氏…部屋で待ってるんでしょ?』




「あ…ヤバイ!
准一さん、ほったらかしにしちゃった」



気が付けば、2時間近く経っていた
笑って言ったけど、内心焦った

初めての二人っきりの旅行の初日にいきなり彼をほったらかしにしてしまうなんて

ほんの一時間位のつもりが、2時間も・・・



(准一さん…怒ってるかなぁ……)



いくら優しい彼でも、さすがに2時間もほったらかしにされたら・・・



『ほら、早く部屋に戻って!
今度は、私の方が日本に帰った時にいっぱい話そう』



「うん…ありがとう」




まさみともう一度ハグして、急いで部屋に戻った








チャイムを鳴らし、暫く待つも
なかなかドアが開かない


もう一度鳴らし、ノックもしてみたけど、反応無し



(待ちくたびれて、何処かに出かけてるのかしら?)



(そうだ、電話してみよう…)





スマホを出して彼に電話をかけた………






10回程鳴らし、諦めて切ろうとした瞬間





「……かず?………あ、ごめん…寝てた…」


「私こそごめんなさい、遅くなっちゃった」



と、言い終わると同時にドアが開き
ニッコリ微笑む、寝起きの彼の顔が現れた



「待たせちゃってごめんなさい……」



「大丈夫!おかげでぐっすり寝れたし……
俺と一緒の時間は、まだたっぷり有るから……」



そう言って、私の腰に手を回しグイッと引き寄せられたかと思うと
優しく微笑む顔が近づき
柔らかい感触が唇を塞いだ


そして、何度か軽くキスを交し……


「さて…かずをこのままベッドに運ぶってのもあるけど……どうする?」


と、彼が私を抱え上げた



「えっ?ちょ…っと待って!」

「ははは……冗談だよ!
今から、のんびり散歩しながらビーチに向かったら、きっと綺麗な夕陽が見られると思うんだけど……どうする?」



「散歩する♡」






二人のハワイ初日は・・・散歩に決定!