空港ロビーで目を輝かせキョロキョロする彼女を見ながら、一緒に来れて良かった……としみじみ思った
キャリーケースを引き、俺の前を歩きながら、相変わらずキョロキョロする彼女………
「ねぇ…何処行けばいいの?」
と、振り返る
『そっち』と指で示すと、彼女は
その方向を確認し、自分でも指さして『こっち?』と確かめる
「かず、ちゃんと周りを見て……」
「もぉ~子供じゃな……きゃっ!ごめんなさい」
言ってる側から、目の前を横切る人に気づかず打つかってしまった
俺は慌てて駆け寄り、打つかった人に頭を下げたが、そそくさと背を向け行ってしまい、おそらく俺の存在は認識されて無かっただろう……
「だから言ったろ……ちゃんと周り見ろって………」
「准一さんが声かけなかったら、打つからなかったわよ!」
「そっか……ごめん♡」
唇を尖らせて言い訳する彼女が可愛くて
頭をクシャッとすると
俺を見上げる顔が子供の様にほころんだ
「お腹…すいたね…」
俺が言うと……
「うん♡」
満面の笑みで答える
「とりあえず、何か食べよう!」
「さんせ~い♡」
俺達は、ホテルに向かう前に、遅目の朝食を取る事にした。
食事を済ませた後、予約していたワイキキビーチの近くのホテルに到着
チェックインを済ませ部屋に入ると、彼女は窓から見える海にテンションが上がりバルコニーに飛び出した
「うわぁ〜気持ちいい~♡」
潮の香りを運ぶ海風に髪をなびかせ
気持ち良さそうに目を細めている
手すりに肘を乗せ寄り掛かる彼女に
後ろから近づき
腰に腕を絡ませ首筋にキスをした
「一緒に来てくれて…ありがとう♡」
と、俺が囁くと…
「連れて来てくれて……ありがとう…」
と、彼女が振り返り微笑む
その唇に触れるように口づけると
彼女は、体を反転させ
細い腕を俺の首にまわし・・・
「いっぱい、い〜〜っぱい、楽しもうね」
そう言って、ギュ〜っと抱きしめた
俺も・・・
「うん……此処に居る間は、かずを…
ひとり占めっ……」
と抱きしめ、ゆらゆらと体をゆらした
すると、部屋の中からスマホの鳴る音が………
どうやら、彼女のスマホのようだ
「あ!まさみだ………
准一さん………あの……」
彼女は申し訳なさそうに視線を、俺の顔から、部屋の方へ移した
「早く出なきゃ……」
彼女は頷くと、パタパタと自分のバッグへ飛んで行った
きっと、このオアフ島に住む友達だろう
家もここからそう遠く無いはずだ
そう!この島に決めたのも、このホテルを決めたのも、此処に友達が居て会いたいと言っていたのを受けて、彼女が友達と会いやすいようにと選んだのだった
「准一さん、あの………友達のまさみがロビーまで来てくれてるの………
少し、ロビーまで行ってきてもいい?」
「もちろん!……ゆっくり積る話し、しておいで」
「准一さん…ありがとう♡」
彼女は、身だしなみを整えると、行ってしまった
“彼女をひとり占め”・・・は、無理のようだ(笑)
俺はベッドに体を投げ出し、目を閉じると
あっという間に睡魔に襲われた・・・
(そう言えば・・・)
(飛行機では…)
(かずを寝かす為に寝た振りしてたけど・・・)
(殆ど寝れてなかった・・・・っけ・・・)