こんばんは。 ジュニパパです。

 

今日は、外壁の“目地”について思うところを書きたいと思います。

 

私は、このブログでもことある毎に、家づくりにおいては外観デザインがとても重要だと力説している訳ですが、その外観に重要な意匠的影響を及ぼすものとして、外壁の“目地”があると思っています。

 

目地といっても、具体的に何を指すかは色々とありますが、私が外観に大きな影響を与えていると思っているのは、サイディングボードやALCパネル等のパネル状の外壁材で仕上げている場合の、パネルとパネルの隙間を指しています。

 

外壁材をサイディングボードやALCパネル等で仕上げる場合、パネル自体は硬い素材ですので、建物が地震等で揺れると互いにぶつかって壊れる可能性があるために、少し間を空けて施工する必要があり、必然的にできる隙間が目地となります。

この目地は、通常、コーキング材と呼ばれるゴム性の樹脂を注入して埋めるのが一般的で、シーリング材とかシール材とも呼ばれます。

 

このコーキング材は、当然に経年劣化する訳ですが、最近のコーキング材は大幅に進化しており、従来は10~15年程度が打ち替えの目安だったと思いますが、現在は30年間メンテナンスフリーとしているものもあります。

積水ハウスの高耐久目地はメンテナンスサイクル30年を、旭化成のロングライフコートによる目地塗装は耐用年数30年以上を謳っています。

 

こうした高耐久の目地は、見た目にもあまり目立たないようにはなってきているものの、やはりパネルとパネルの間を埋める隙間として目立つ存在に見えてしまうのです。

サイディングボードやALCパネルは、大体90cmとか1mの横幅が一般的によく見る大きさだと思いますが、街中では一間幅(1.8m)位のものも見かけます。

 

このスパン毎にできる目地が、パネル上の模様と完全に見分けがつかないように施工することができるのであればいいのですが、実際にはそうはいきません。

ヘーベルハウスの目地は遠目には殆ど見分けがつかないと思いますが、その他のハウスメーカーのものは明らかに目地の存在が分かります。

 

例えば、このような感じです。某大手ハウスメーカーの外壁です。

 

これのどこが気になるかというと、縦の赤ラインで示したように、縦ラインの目地が上から下まで通しになっておらず位置がズレているという不規則な感じが目地の存在をより一層強調し、外観デザインを大幅に損ねていると感じてしまうのです。青の縦ラインの位置がズレていないのとは対照的です。

横の赤ラインも、上3段の横ラインと違って途中で切れています。

 

もう一例です。 こちらも別の某大手ハウスメーカーの外壁です。

 

こちらも、青ラインは同一壁面上に端から端まで通しで入っているのでまだいいのですが、赤ラインは途中で途切れているので、デザイン性を大幅に損なっていると感じます。

何故、このような割付をしてしまうのか、理解に苦しみます。

 

これらは、窓を設置する部分は窓の位置によって通常使うパネルのスパンとは幅を変える必要があるための調整であり、建物の高さを変える部分も調整のためのパネルで補正する必要があるから等の理由によるものです。

工業化住宅であるが故の、現場施工時の効率化を最優先したことによる必然でもあると思います。

 

ここまでを想定して、窓の配置や外壁パネルのスパンを考えながら設計をすれば、外観デザインとしても綺麗な建物が建つかもしれませんが、限られた敷地内で設計する場合には間取りを優先する必要があり、外壁パネルの事までを考えての設計は難しいと思います。

 

しかも、この外壁パネルの割付方や目地の位置については、ほとんどの場合、設計の段階でハウスメーカー側から施主に対しての説明や確認がなされないまま、勝手に施工されてしまうのです。

したがって、施主は、出来上がってしまった家を見てはじめて気づかされるのです。

なんでこんなに不規則な目地の位置になっているのか。もっと、綺麗にできなかったのか。

 

しかしながら、それ以前に、このようなパネルの間の目地そのものの存在感が目障りと感じてしまうのも事実です。

そういう意味では、積水ハウスにしても、大和ハウスにしても、彫りの深い外壁材をいくら開発しても、目地の存在を全く感じさせない商品を私はまだ見かけていません。

好き嫌いは別として、旭化成のヘーベルコンクリート外壁は唯一目地が目立たないパネル外壁だと思います。

 

余談ですが、私は今まで、RC造のコンクリート打放し外壁にも目地があることに気付いていませんでした。というか、デザインだと思っていました。

これです。赤い矢印が指す線以外も全部目地です。

これは、「ひび割れ誘発目地」といって、コンクリートの水分が抜けて乾燥する過程で必ず発生するひび割れの位置を、わざと誘導するためにつくるものだそうです。

目地の表面はシール材で保護しますので、打ち替えが必要になってきます。

一般的には3m以内のピッチで入れるそうですが、打放しの場合は外観上の意匠を考えて割付けることが重要になってくるそうです。

 

目地つながりで、タイル張りの外壁についても少し書きたいと思います。

パナホームといえば、キラテックタイルですが、今回は、ハウスメーカー選びを通して検討した観点で書きます。

 

タイル張りの工法としては、様々な方法があるようですが、一般的には大きく分けて「湿式工法」と「乾式工法」があります。

湿式工法は、下地材の上にモルタル等でタイルを張り付け、タイルとタイルの隙間の目地も埋めていくことになります。

一方の乾式工法は、外壁の下地材の上に糊状の接着剤を塗布してタイルを貼っていく「接着剤張り工法」や、ベースボード゙の凸部にタイルの裏側の凹部に引っ掛け接着剤で固定する「引掛け工法」があります。

こちらは、タイルとタイルの隙間は埋めない場合が多いようです。

 

従来は湿式工法が一般的だったかと思いますが、近年においてハウスメーカーがよく採用しているのは乾式工法と思われます。

ミサワホームやパナホームのタイル張りも、接着剤を用いた乾式工法が使われているようです。

 

そして、同じハウスメーカーで採用されている乾式工法の場合でも、タイルの種類によって張り方が違ってくるようです。

 

ミサワホームの場合、「プレセットタイル張り工法」と「シームレスタイル張り工法」があり、前者は外壁の出隅と入隅にコーキングが必要な張り方となり、後者はその名が示す通りコーキングが必要のない張り方になるそうです。

つまり、シームレス工法の場合は、外壁表面のタイル張りの部分には、いわゆる目地といえるものが存在しないことになります。これはメンテナンスサイクルの面では、相当な優位性があると思われます。

 ※ミサワホームのカタログより抜粋 m(_ _ )m

 

因みに、プレセット工法の出隅にコーキングが必要というのは、下の写真の外壁の角に一番近くにある縦ラインの部分をいいます。

 

このプレセット工法のコーキング部分は、劣化を防ぐ追加処理がされていて、見た目も他の隙間部分と殆ど見分けがつかないようになっているとのこですが、やはりシームレス工法に比べるとメンテナンスサイクルの観点からは劣るようです。

それでも、プレセット工法でも30年は大丈夫で、シームレス工法に至っては殆どノーメンテで大丈夫とのことで、最近はシームレス工法のタイルが主流とのことですが、実際のメンテサイクルがどうなるかは立地等の条件次第でも変わってくると思われます。

どのタイルが、どちらの工法に対応しているかは、営業さんに確認してみてください。

 

私達がミサワから提案されのは、“Mボーダー”というシームレス工法対応のタイルで、ナノ親水の防汚性能の高いものです。

ミサワホームのタイルの中でも価格が高い方に位置し、他の種類にすることでコストダウンが可能ということで、初期設定されました。

 

因みに、タイル等のセルフクリーニング機能としては、ナノ親水方式と光触媒方式の2種類が有名ですが、ミサワの営業マンはナノ親水の方を勧めていました。

ナノ親水方式は空気中の水分を使って水膜をつくり汚れを付き難くするのに対し、光触媒方式は光触媒機能層に光が当たることで生まれる分解力と親水性によって汚れを付き難くするため、光が当たらない部分は汚れが残ってしまうそうです。

パナホームが候補であることを知ってて、牽制の意味があったのでしょうか。

実際に見た実例でも、光触媒系のタイルは日陰側で雨も当たらなそうなところに汚れが残って苔が生えているところがありました。

 

この論法でいくと、パナホームのキラテックタイルは光触媒方式なので、日陰側は汚れが落ち難いことになってしまいますが、今のところ汚れている事例を見掛けたことはないですね。

別の記事で書いた、近所の築20年以上経過しているパナホームのタイル張りの家も、北側の道路に面した側から見ても、外壁タイルは綺麗なままで、汚れが目立ったり苔が生えたりはしていません。この家は国道に面しているため、排気ガスで相当汚れるはずですが、黒ずんでいる様子もありません。

次回の打合せは外壁タイルの選定も含まれるそうですので、その辺も確認しつつ、検討したいと思います。

 

以上のように、外観の印象に与える影響としての“目地”の存在は非常に重要であると考え、色々と比較検討した結果、最終的にパナホームのキラテックタイル張りを選んだ、という訳です。

 

少し長くなってしまいましたが、今日はこの辺で。

 

では、また。