パナホームの続きです。
■ 営業スタイルと経過
最初のコンタクトは住宅展示場のモデルハウス見学でした。
30歳位の血気盛んな営業マンKさんが担当です。
他社では2人一組の営業スタイルが多い中、パナホームさんは営業担当は1人でした。
途中からは設計担当のUさんも加わりましたが、基本的には営業マンが1人で打合せを行い、間取りがメインの時は設計担当も同席するスタイルです。
Kさんは、誠実さと一匹狼的獰猛さが同居しているようなタイプで、最初は少しグイグイくる感じに若干引き気味に構えてしまいましたが、何回か会っているうちに結構真面目で真摯な対応をする人でもあるのだと気付きました。
まだ若い方なので経験不足と感じる部分もありますが、こちらの言うことに直ぐに対応しようとする姿勢が伺えます。
集合形式の見学バスツアーやセミナー等で他の営業の方々の様子をみても、総じてパナホームさんはイケイケな匂いを感じると同時に、お客さんとの距離感が近い感じがします。
逆に積水ハウスの営業さんは紳士的と言えば聞こえはいいですが、打っても響かない感じがあり、もう少しハッキリとした対応をして欲しいと思うことが多々ありました。
やはり、会社によってカラーが大分違うなと感じた次第です。
パナホームとの打合せでは、必ず打合せの内容を議事録として記録し、最後に客側の確認サインをして、複写を渡されました。
この点はとてもきっちりしていると感じました。
他社では、ミサワホームもメモを作成して複写を渡されますがサインはしませんでしたし、それ以外の会社はメモを残したりはしませんでした(もしかしたら、自分達用のものは作成していたのかもしれませんが)。
展示場モデルハウス見学の後、完成実例の1部屋を借上げたモデルルームの見学や、完成実例や建築中構造現場、パナソニックのショールームを大型バスに乗って回る集合形態の見学ツアーに参加したり、相続対策のセミナーに参加したりもしました。
最初のモデルハウス見学の後、すぐに計画地の敷地調査や地盤調査を実施してもらい、こちらからの要望事項をもとにしたファーストプランの提案を2週間後に受けました。
当初は私達の計画イメージもまだ固まっていなかったので、2棟建プランや1棟建でも3階建プランと4階建プラン等、複数のプランを作成して頂きましたが、結局収支が良くなるのは建物が一番大きくなる(=賃貸住戸の戸数が多くなる)プランだったので、自然と4階建プランに絞られていきました(積水ハウスも同様でした)。
当然に総事業費も大きくなる訳ですが、初期の段階では資金手当、つまり融資のことには殆ど触れずに、建物の設計プランばかりを煮詰めていました。
この点は、ミサワホームの進め方の方が、バランスがとれていて好ましいと感じました。
パナホームは地盤改良工事費用について、当初から大雑把ではあるものの概算で見積りに入れていましたが、ある程度正確な金額が分からないことには事業費の見積りを精度の高いものにできないと考え、打合せで確認すると、工事業者に見積りをとって入れます、となりました。
結果としては、3階建プランでは360万円(税別)、4階建プランでは約1,200万円(税別)掛かるとのことです。
一方の積水ハウスでは、当初全く建築費の見積りに入れいませんでしたが、結局、4階建プランで約4,000万円(税別)と言われたので、パナホームとの金額差があまりにもあり過ぎて、何が正解なのかわからなくなりました。
因みに、建築家のRC造3階建プランでは、3,700万円(税別)の業者見積を2,600万円に値引くと言われました(いずれにしても、かなり高額ですが)。
後になって、地盤補強工事の工法が違うことによる差だということがわかるのですが、当初はそのような違いについてあまり勉強もしていなかったので、不安だけが拡大していきました。
このように、この計画地の地盤はかなり悪いということが判明したのです。
これらの見積額は計画地の周辺におけるボーリング調査の近隣データをもとに算定しているだけのため、あくまでも概算であり確定的なものではありません。
確定的な見積額を出すには、計画地の敷地内でボーリング調査を行う必要があるのですが、ボーリング調査には50万円以上の実費がかかるということで、費用を確定的にさせるためだけに調査するのか、するならどこに依頼するのか、もしくはそこまでして4階建にこだわるのか等、葛藤がはじまり、どうするのかを簡単には決められませんでした。
このような状況では、そもそも4階建は無理で、重量鉄骨造なら3階建であっても地盤補強工事に多額の費用がかかるのではないか、もう木造しか選択肢はないのではないかなどと思い始めていました。
一方で、融資のことについてもそろそろ明確にしていかなければ、計画そのものが実行できなくなると思いはじめ、各社に対し、提携金融機関に対する融資の事前審査依頼を本格的に進めて欲しい旨を要請しました。
初期の段階から融資の件も設計プランと同時並行的に検討して頂いていたのは、ミサワホーム位でしたので。
そして、融資の事前審査の結果が出揃い始めると、どのハウスメーカーの提携金融機関からの融資条件に関する回答もほぼ同じような内容であり、おおよその融資枠や金利条件等が判明し始めます。
このように地盤補強工事の件と融資の件が明確になるにつれ、やはり4階建プランには計画自体に無理があることが分かってきました。
そして、不可能ということが先に判明したのは積水ハウスで、以前に書いたとおりです。
積水ハウスの結果を踏まえ、パナホームにも同じような結果になるのではないかとの疑念を投げかけました。
その時点ではパナホームの提携先金融機関からの審査結果は出ていないようでしたが、私達としては実行不可能との確信がありましたので、4階建プランは捨てて、3階建のプランを再度改良して作成し直して欲しいと依頼しました。
一方で、ミサワホームのプランが一番実現性の高いものであることが分かってきましたので、私達の中ではミサワホームに決める方向で気持ちが固まりかけてもいました。
ただ、やはり木造で賃貸併用住宅は大丈夫なのか、という根本の部分で引っ掛かる気持ちがあったのも事実です。大丈夫なのかという意味は、遮音性のことも含みますが、もう少し漠然とした大きな不安感です。
できれば重量鉄骨造の方で建てたいと。
状況が一変したのは、パナホームに3階建プランの再構築を依頼した1週間後の打合せでのことです。
その日は、営業担当Kさんの上司にあたるDさんが珍しく同席していました。
何事かと少し構えていると、Kさんがおもむろに3階建の修正プランの説明をはじめ、程無くして上司のDさんもフォローするように、破格の条件と安心材料を提示しました。
内容としては、かなりの値引きと他社ではありえなかった金額の金融機関融資枠の確保結果、当初10年間借上げ料率のアップ、そして3階建なら地盤補強工事の費用が360万円程度で大丈夫であるという確約です。
今回の条件は本社決裁事項であり、エントランス周りの外構に関しても本社主導で計画地区における宣伝となるものを造りたいという申し出を受けました。
Dさんの説明としては、本社を巻き込んで宣伝に使用できる物件として扱いたいので、協力して頂きたい、ついてはこれだけ破格の条件を提示しますので決断をお願いします、ということです。
どこまでが本当で、どこからがそういうシナリオで決断を迫る演出なのかはわかりませんでしたが、妻としてはここが決め時と思ったようで(いつ決めるの? 今でしょ、みたいな)、左程の躊躇もなく、お願いしますと返事をしていました。
私も半分はこれでいいかなと思いつつも、半分はもう少し冷静に判断した方がいいのではとも思いつつ、やっぱり施主はあくまでも妻ですので、妻の決断を尊重しました。
■ パナホームのプラン
パナホームの契約前最終プランは、商品名ビューノNS、重量鉄骨造3階建、耐火構造、総タイル張り、賃貸住戸11戸(1LDK10戸+2LDK1戸、各戸34~46㎡、内廊下・内階段仕様)+自宅(1階玄関・3階住居、3LDK+2WIC+納戸+パントリー+ホームエレベーター、約112㎡)+太陽光発電+エネファーム+蓄電池という構成です。
最終的に太陽光やエネファーム、蓄電池等を残すかどうかは決めていませんが、その他の仕様変更等の程度にもよると思います。
パナホームさんとは、ミサワホームと同じくらい数多くの打合せを重ね(どちらも10回以上)、提案して頂いたプラン数も構成変更や修正を繰り返して20パターンにも上りました。
最終プランに関しては、妻が突如決断してしまったために自宅や賃貸住戸の間取りについての吟味が細かくできなかったので、契約後の打合せで微修正をしなければならないと思いますが、大きな修正点は必要ないものにはなっていると思います。
■ パナホームに決めた理由
もう色々と経過を書いたので付け足すことはあまりありませんが、まとめると以下のような理由になります。
- 重量鉄骨造であること
- 総タイル張りであること
- パナソニックであること
- 建築費が比較的リーズナブルであること
- 営業担当者が色々と頑張ってくれたこと
シンプルに上記の通りです。
当初は何のイメージも持っていなったパナホームですが、打合せを重ねるごとに、魅力的に感じるようになっていきました。
これは、同じ重量鉄骨造の積水ハウスに対する感情とは真逆の変遷でした。
最後まで悩んだミサワホームとの比較では、総タイル張りの外壁という点ではどちらも気に入っていましたが(テイストやデザイン性はかなり違いますが)、メンテナンスの点では屋根掛けをしているミサワの方に分がある一方、やはり木造と重量鉄骨造のどちらがいいのかという点では、最後まで揺れていました。
結局は私達にとって重量鉄骨造の方に気持ちがあったので、そこが決め手となる訳ですが、人によっては考え方が異なる部分だと思います。
木造の利点は、建物本体に係る建築費の減価償却年数が短いため、賃貸住宅経営という観点ではイニシャルコストの回収が早くできて、次の投資を考えやすくなるということにあると思います。
一方、賃貸併用住宅は自宅でもあり、腰を落ち着けて長く住める家という観点では、より耐用年数の長い建物、つまり重量鉄骨造の方が適しているのではと考えたりもします。そこは、また人によって考え方が違うとは思いますが。
要は、何を重要視するかということであり、人それぞれですので、私達にとっては、パナホームの方がより勝っていたということになります。
一時期は、そもそも重量鉄骨造自体建物の重量が重いために地盤の悪いこの計画地では無理な話で、木造しか選択肢がないのではないか、と考えたりもしていましたので、ミサワホームに決めかけていたということも事実です。
ただ、一つ付け加えるとすれば、木造のミサワホームの方が、重量鉄骨造のパナホームより、坪単価で8万円超(値引後、税込の総事業費ベース)も高かったという点だけは不可解でしたし、今でも違和感が残っています。
大和ハウスのプランも終盤で復活し最後まで候補として残りましたが、やはりサイディングの外壁が、デザイン性の観点でパナホームには勝てなかったということになります。
サイディングの外壁は目地のメンテナンスの問題というよりも、サイディングボードのスパン毎に入る目地そのものが外観デザインを損なっているように見えてしまい、私達にとっては大きなマイナスポイントとして影響しました。
でも、大和ハウスの建物は、外観等にあまりこだわりのない人であれば十分なスペックを備えていて、一定以上の信頼感もあり、積水ハウスほどお高くもないので、賃貸住宅経営を気軽にはじめたい人にとっては打って付けのハウスメーカーではないでしょうか。
その点、パナホームはまだまだ新参者であり知名度も低いと思いますが、ポテンシャルはかなり高く、賃貸併用住宅にはとても向いていると思いますので、これからどんどん伸びていくことが楽しみになるハウスメーカーと期待しています。
これまで、他の候補先について色々と厳しい意見を書いてきましたが、相対的な評価の結果であって、絶対的に駄目とか全否定するものではありませんし、あくまでも私達が感じた個別的な問題であって普遍的な問題ではありませんので、その辺はご承知おきください。
ということで、これからはパナホームとの契約後の打合せがはじまりますので、楽しんで決めていきたいと思います。
それでは、次回は、選定候補先ハウスメーカー各社の坪単価や値引率について、比較したものを公開したいと思います。
では、また。