こんばんは。 ジュニパパです。

 

4番目にコンタクトしたのは建築家の先生です。

 

■建築家を候補先として選んだ経緯

前にも書きましたが、新聞の折り込み広告に建築家を集めた展示会の告知があり、その中で“相続対策と賃貸併用住宅”的なお題のセミナーがあるとのことだったので参加したところ、その講師である一級建築士の先生にセミナー後に相談できる機会があり、プランの提案を依頼することになったという経緯です。

 

この展示会は、建築家と家づくりをしたいと考えている施主と建築家・建設会社・工務店等をつなぐネットワークを構築し提供しているマネジメント会社が、全国各地で随時開催しているものでした。

 

■建築家先生のこと

契約に至らなかったので建築家の方の名前は伏せますが、一般住宅だけでなく集合住宅やオフィスビル、店舗等も手掛けている実績のある先生です。

打合せにおいても、じっくりとヒアリングをしながら少しずつ形のあるものに作り上げていくタイプで、非常に好感の持てる常に穏やかな雰囲気の方です。

資金計画や収支計画についてもシミュレーションしたものを、設計図面と同時に提示して頂けました。

この先生は、集合住宅はRC造(鉄筋コンクリート造)で建てるべきとの考えを主張されていました。

これは、やはり音の問題であり、界壁や床の遮音性能はRC造が最も優れており、集合住宅では重要な問題であるとの考えです(ハウスメーカーにこの見解をぶつけると、今や時代遅れの考え方だと鼻で笑われました)。

 

■プラン作成等の進め方

打合せ時は、基本的に建築家の先生だけではなく、施工する建設会社の担当者、マネジメント会社の担当者の3人が同席します。

特にマネジメント会社の担当者は、建築以外の部分をカバーする役割で、賃貸管理会社のアレンジや、融資や土地名義変更、相続・贈与等に関する問題点の解決策についてもアドバイスし、時には専門家を帯同してきたりもしました。

 

■建築家先生の作品

この建築家先生が手掛けた物件の完成見学会にも見に行きましたが、流石に建築家の作品はハウスメーカーで建てたものとは別物で、本物感が半端ないという印象でした。

見学した物件は、RC造3階建で1階が自宅、2階と3階が貸事務所という併用住宅でしたが、自宅部分の造り込まれた質感の高さに感心しきりでした。

特に豪華につくっている訳ではありませんでしたが、シンプルながら考え抜かれた間取りと、コンクリート打ちっぱなしにオークの木目の絶妙な組み合わせのインテリアに圧倒されました。

直前に見た積水ハウスの高級仕様マンション風とは別格の、本物の凄さを感じたものです。

まじで、こういう感じのものが建てられたらいいなと心底思いました。

 

■提案されたプラン

先生から提案されたプランは、RC造の3階建で、賃貸住戸9戸+自宅(3階)+自宅用ビルトインガレージ+屋外駐車場5台分の構成です。

賃貸住戸は、ハウスメーカーが提案する型通りの1LDK等とは異なり、各戸40㎡以上を確保しつつ、水回り(キッチン、洗面所、バス、トイレ)以外はシンプルにワンルームです。型通りの言い方をすれば1Kですが、建築家物件を好む入居者は、広めのワンルームを自分なりにインテリアをアレンジして住む人が多いとのことで、最初から個室を分けるのは望ましくないという考え方のようです。

ハウスメーカーでは絶対提案できないプランだと思います。

外観も、ハウスメーカーでは真似の出来ないデザイン性の高いものでした。

建築家が建てた物件ばかりを扱う賃貸管理会社もあり、かなりの建築家物件愛好者がいるようです。

 

■最終的に選ばなかった理由

さて、こんなにも気に入ったプランであるにもかかわらず契約に至らなかったのは、以下のような理由からです。

 

  1. RC造は比重が大きいため当然に地盤補強工事が必要となったが、多額の工事費がかかり建築費が嵩んだため、適正な収支を確保することが困難であった
  2. 地盤補強工事が必要ない場合であってもRC造の建築費は元々単価が高く(東京オリンピックを間近に控え高騰しているという事情も重なり)、賃料をある程度高く設定できない場合、収益を生まない自宅部分の負担が大きい賃貸併用住宅では採算があわなかった
  3. RC造は、外壁や屋上の防水等にメンテナンス費用や最終的な解体費用が他の工法とは比較にならない程多額になることをあらためて認識し(当初よりある程度わかってはいたものの、再認識したため)、次世代への負担を考えると躊躇してしまった
  4. 建築家を通じて大規模な建物を建てることについて、大手ハウスメーカーを通じて建てる場合と比較した場合、保証等の面での不安感を払拭することができなかった

 

上記の全てについては、当初あるいは途中から気付いていたことでありましたが、RC造の抜群の耐震性や耐火性への信頼度やデザイン性の高さはもちろんのこと、建築家先生の作品を見てしまったことで、憧れにも似た感情から決断力を失い、ズルズルと諦めることができずに引っ張ってしまった面があります。

特に解体費用については、知合いが実際にRC造の家を取り壊す時に多額の費用が掛かって大変だったという話を聞いていたので、分かってはいたのですが・・・。

他社との交渉を重ねるうちに次第に冷静に判断できるようになり、最終的には諦めがつきました。

というより、諦めざるを得なかったということです。

 

資金に余裕があり、将来的なメンテナンスや解体費用のことを気にすることがないような身分であれば、RC造で家を建ててみたいものです。

 

建築家の先生には色々と有用なお話を聞かせて頂いたり、模型を作成して頂いたりと、一時でも夢を見させて頂いたことに深く感謝いたします。

この場をかりて、あらためてお礼申し上げます。

 

では、また。