こんばんは。 ジュニパパです。

 

2番目にコンタクトしたハウスメーカーは、“シャーメゾン”でお馴染みの積水ハウスです。

モデルで女優の山本美月さんがイメージキャラクターになっていますね。

 

■ 積水ハウスの特徴等

言わずと知れたハウスメーカーの雄でしょうか。

会社の規模では大和ハウスの方が大きくなっているようですが、大手ハウスメーカーとしてのブランド力は現状トップではないでしょうか(あくまでも私見です)。

 

戸建住宅では、鉄骨造と木造のどちらも人気の商品シリーズを提供していますね。

鉄骨造は、「ユニバーサルフレーム・システム」構法の1・2階建では「イズステージ」や「ビーサイエ」、「フレキシブルβシステム」構法の3・4階建では「ビエナ」が定番ですね。

木造の「シャーウッド構法」は、住友林業のBF構法とよく比較され、「グラヴィス」シリーズなどの商品ラインナップがありますね。

戸建住宅用の外壁材は、鉄骨造では「ダインコンクリート」が彫りの深い造形で人気のようですが、気泡コンクリートとして軽量化されているとはいえ相当の重量があるようで、「ダイナミックフレーム・システム」構法の「イズ」シリーズにしか採用できないようです。他にも「エコルデック」や「セラブリット」のサイディング外壁もあります。

木造の外壁材では、陶版外壁「ベルバーン」が重厚感があって人気ですが、やはり一定幅のピッチでコーキング材での目地処理が必要になります。

 

積水ハウスの賃貸住宅は、シャーメゾンというブランドで、グループ会社の積和不動産が物件の管理をするのが一般的です。

賃貸不動産の店舗としては、「お部屋探しMAST」という呼称で有名ですね。

賃貸管理会社の管理戸数ランキングは全国2位ですので、管理委託の面でも安心のブランド力があります。

 

賃貸住宅向けの商品ラインナップとしては、2階建までは「プロヌーブ」という軽量鉄骨造の商品、3階建以上は「べレオ」という重量鉄骨造の商品で戸建の「ビエナ」シリーズと基本的には同じですね。私達の計画上は3階建か4階建を想定していたので、必然的に重量鉄骨造のべレオが選択されます。

 

プロヌーブの外観イメージはこんな感じですね。

 

べレオです。

 

 ※ これらの画像は積水ハウスのHPより拝借しました m(_ _ )m

 

べレオで採用される「重量鉄骨フレキシブルβシステム」という梁勝ちの構法は通し柱の必要がないため間取りの自由度が高く、メンテナンスサイクルが30年という高耐候塗装の「シェルテックコンクリート」外壁や高耐久目地も売りのようです。

積水ハウスは住宅専業のトップメーカーとして商品開発力を磨く一方で、技術的なアピールはあまりせずに、スマートな高級イメージを売っていく販売戦略方針のようです。それはテレビCMを見てもわかりますが、営業スタイルからも伝わってきます。

良く言えば紳士的、悪く言えばお高い感じです。

 

■ 営業スタイルと経過

積水ハウスさんとの最初のコンタクトは、やはり完成実例の現場見学会でした。

都心の賃貸専用住宅で、ハウスメーカーの賃貸物件としてはかなり高級仕様でしたので、こんなのが建てられるのならいいなと単純に思いました。

後にも先にも、ハウスメーカーの賃貸住宅としては、この時以上にグレードの高い物件は見ていません。

 

当初営業担当者は若手1名とサポート役の上司の2人体制でした。途中で若手の担当が部署異動で交替になり、少しだけベテランの方になりました。

更に、担当が賃貸住宅を販売する部門であるため、自宅部分の間取りに関する要望を上手く形にすることが難しいということで、一般住宅部門の営業担当の方も途中から加わり、3人体制になりました。

他社とは異なり、契約前の段階では設計部門の方が直接加わることはないようでした。

 

最初の完成実例見学会の後、幾つかの実例見学を依頼し、プラン提案についても5回以上の打合せを重ねました。

積水ハウスさんには、4階建プランしか作成を依頼しませんでした。

これは私の中では当初積水ハウスが本命候補の一つであったため、より立派なものを建てて欲しいという願望から、3階建プランは作成して頂いても無駄になるだけだと思ったからです。

しかし、それが結局は、積水ハウスを選ばない結果につながったのかもしれません。

もし3階建プランも一応作成して頂いていたら、結果は変わっていたかな。

いや、変わらなかったと思います。

 

■ 提案されたプラン

積水ハウスさんからの提案プランは、重量鉄骨造4階建、シェルテックコンクリート壁、賃貸住宅13戸(1LDK6戸+2LDK6戸+3LDK1戸、各戸41㎡~69㎡、共用エレベーター、内廊下・内階段)+自宅(1階玄関・4階住居、3LDK+2WIC+納戸+ホームエレベーター、約110㎡)=計14戸の構成で、パナホームの4階建プランも同じような内容でした。

9社中で建物の規模が最も大きく、共用エレベーターを含む設備仕様もフル装備でした。

 

■ 選ばなかった理由

積水ハウスを選ばなかったのは、主に以下のような理由です。

 

  1. 4階建プランの総事業費を融資だけでは賄えないことについて、最終段階まで判明しなかった
  2. 1にもかかわらず、別の提案(3階建プラン等)はせずに、追加担保の有無の確認しかなかった
  3. 建築費が同じ重量鉄骨造の他社に比べ非常に高い
  4. 建築費が格段に高くなった一つの要因である地盤補強工事費用について、途中まで建築費の見積りに全く入れていなかった
  5. 建物の設計プラン提案に対しては対応が良いものの、それ以外の融資や土地の共有名義等に関する問題については積極的な提案がなかった

 

特に1や4については、賃貸住宅も数多く販売しているハウスメーカーとしては、初期の段階からある程度見当はついているはずであり(というより、見当をつけるべき)、プロとしての信頼に関わることと考えます。

うがった見方をすれば、客の意向はどうであれ、大きな建物を建てさせて自分達が儲かりさえすればいいとしか考えてないようにも思えます。

確かに私達から4階建のプラン作成をお願いした訳ですが、当初は3階建のこともお話してありましたし、途中からでも、プランの実行可能性を見極めて、敢えて別の提案をするということもプロの仕事だと思います。

 

4の地盤補強工事は、今回の計画地の地盤が相当に悪く、4階建以上の重量鉄骨造やRC造では、通常の地盤改良工事(柱状改良工法や摩擦杭工法)では建物を支えられず、支持杭工法(鋼管杭工法)を採用するしかないというのです。しかも、支持層が地下40m超と非常に深いために、積水ハウスの場合は地盤補強工事だけで4千万円程度掛かるという見積りでした。

地盤補強工事だけで4千万円も掛かるということを、途中まで建築費の見積りに反映していなかったということです。

積水ハウスほどの会社であれば、周辺の地盤データを持っているはずであり(実際、持っていました)、その道のプロならば最初から考慮すべき項目だと考えます。

 

そして、1の融資の件についても、確認や対応が後手になったため、最後の最後で駄目であることが判明したということです。

他のハウスメーカーでは、直近の金融情勢等を敏感に察知し、最初から適正な範囲での提案をしてくるところもありました。

賃貸住宅を建てる資金を融資で賄う場合、通常の住宅ローンではなく、アパートローンとかプロパーローンとか呼ばれる融資を利用することになりますが、このアパートローン等の事業性ローンは、建前上は、土地・建物の担保価値だけではなく、融資対象の収益性と借り手の安定性(収入・金融資産・負債)を総合的に評価して審査が行われるとされています。

しかしながら、近年における空き家の増加や新築アパートの乱立が問題となる中で、金融庁が銀行に対するアパートローンへの締め付けを強化し、融資の審査が厳しくなっているという状況です。

確かに、各社を通じた融資の事前審査の結果からも、単純に土地・建物の担保価値相当しかみていない印象を受けました。

そのような状況はハウスメーカーにおいても周知の状況であると思われますので、最初の段階から、どの程度の建物を建てることが適正であるか、ということから話をスタートさせるのがプロの仕事なのではないかと考えるところです。

つまり、積水ハウスの土地活用事業における能力は、それ程高くないという印象を受けてしまいました。

 

3の建築費については、やはり積水ハウスはかなり高いです。

最終段階の値引き提示まで至らなかったとはいえ、値引きなしの状態でも他社のプランと比較して建築費総額の坪単価が10~20万円位は高かったです(同じ地盤補強工事だと仮定した場合)。

今回は4階建プランしか提案して頂かなかったので、巨額の地盤補強工事費用が入って坪単価が更に15万円程度上乗せとなってしまい、パナホームよりも約35万円(値引き前建築費の坪単価、税込ベース比較)も高くなってしまいました。RC造並みです。

確かに、積水ハウスは外観や内装のデザインの見せ方が上手で、トップメーカーとして流石だは思いますが、その分高くなるのであれば、良く見えて当然ですね。

どうしても積水ハウスで建てたいという人でなければ、なかなか決められない値段だと思います。

 

2と5は、営業スタイルの問題ですが、積水ハウスさんは、よく言えば紳士的なのかもしれませんが、積極性がないというか、客の気持ちや要望を先取りして手回し良く提案しようという姿勢に欠けていると思います。

こちらも、まだ何も言っていない事を分かって欲しいなどと無茶な事を要求するつもりはありませんが、前もって言ってあることについても、何回か言わないと重い腰を上げて頂けないことが多々ありました。

もちろん設計プラン等の建物自体のことについては対応は良いと思いますが、建物とは直接的に関係しないような事、例えば、補助金や相続・贈与、そして上記の融資のこと等については、客側にある程度の方針等を決めさせてからでないと、動いて頂けない感じがあります。

つまり、選択肢を少なくしてから動きたいという感じです。

何も決まっていない状態で、考えられる全ての選択肢を網羅的に調べ、客にとってベストな提案をするという姿勢はあまり感じられませんでした。

手間を省きたいのは分かりますが、それが客側にも何となく伝わってしまうような、曖昧な対応をされることがしばしばありました。

そういう類のことは我々の本筋の仕事ではありません、とでも言いたげな雰囲気でしょうか。

その通りかもしれませんが、他社の多くは大体1回お願いすれば直ぐに色々と調べて頂いたので、対応の差が如実に見えてしまいました。

トップメーカーであるが故に、「うちで建てたい人だけがくればいい」、「他社と競合させるような人は面倒だ」、と思っているのではないかと感じてしまいました。

営業担当者との相性というのも、かなり大きいのだと思いました。

 

少し厳しい言い方になってしまった感がありますが、積水ハウスの建物や雰囲気は嫌いではありませんので、もう一度家を建てる機会があれば、その時はまた候補の一つになると思います。

 

ということで、他にも色々と思うところはありましたが、積水ハウスさんともご縁がありませんでした。

 

では、また。