❏ 放送大学教材『教育心理学概論』から
日本の放送大学の英名(The Open University of Japan)が英国式に変更され、すっかり一流になったと思っていたら、その教材を手にして驚いた。三宅芳雄・三宅なほみご夫妻の手になる『新訂・教育心理学概論』である。教職課程を履修した者なら一様に避けられない、お決まりの「教育心理学」授業テキストと思いきや・・トンデモナイ良書だ。その冒頭を抜書きしよう:
教育心理学は、人が賢くなる仕組みを明らかにして、人をより賢くするにはどうしたらいいかを探る研究分野である。
同書の「まえがき」には、2014年2月と刻印されている。それが、つい先日、追悼文を見つけた。亡くなられていたのだ。昨日、公式ブログの記事で紹介した「日本認知科学会」のサイト内にも追悼記事が記されていた。実は、認知科学で学位を出せる大学リストの中で、あろうことか日本は脱落している(中国は香港で、韓国も記載されている)。このような世界の孤児のような国際的地位はあり得ないが、海外人脈に通じている第一線の研究者・三宅女史を失ったことのわが国の損失は比類なきものと言えよう。
❏ 静岡大学サイト内『三宅なほみの研究物語』から
奇しくも三宅なほみ女史の足跡をお茶ノ水女子大から東大へ異動した時系列に沿ってインタビュー形式でまとめられている。今は残された業績から辿っていくしか他に術はなかろう(竹内)。
↑三宅夫妻の放送大学教材『新訂・教育心理学』(NHK出版、2014)
付記: 三宅なほみ女史は、教育と真摯に向き合ってきた痕跡が記されている。それは教育現場に立つ教員以上に生真面目だったかも知れない。良い仕事をすることと論文を書くことの板挟みの渦中に彼女もいたのではないかと察している。遅れて参入したニワカ教員の身ではあるが、心より冥福を祈りたい。
