❏新高等教育機関の制度化を公開審議

昨年度(平成27年度、2015年度)から、国(文科省)は、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会」設け、5月15日から翌年3月30日まで13回、公開制で審議してきた。年度が変わってからも継続審議中だが、一旦、審議経過報告「社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い専門職業人養成のための新たな高等教育機関の制度化について」が公開されている。担当部署は、高等教育だけでなく生涯教育政策局も絡んでくる。

 

この審議は一般公開されているため事前申し込みによって、教育産業の代表者も傍聴することができる。ちなみにベネッセ系企業(株)進研アドは毎回、傍聴しては自社サイト上で丁寧に解説を加え良くフォローしていると思う。これまでの高等教育(大学、高専)の枠組みと違って、社会人の再教育(生涯教育)のいう側面が加わる可能性が見えてくる。今までの高校課程や大学課程が、合格させればオシマイ、就職させればオシマイ・・という「やりっぱなし」の教育政策からようやく脱却する可能性が覗ける。しかし、18歳人口減を抱え、この状況下で単純に新しい高等教育機関を新規に開校し、学校の総数を増やしていくのが現状に沿うのか疑問を禁じ得ない。恐らくモデル的な学校を新設したとして、他は既存の大学をモデル校をターゲットに据えて近似化させていく方策しかないだろうと思われる。

 

❏モデルとなるのはどのような高等教育機関か

似たような趣旨の学校としては、日本に固有だが高等専門学校(高専)制度がある。しかし、現実的には高校進学の理工系のバリエーションとして、また大学3年次編入に接続する道として選ばれている。到底、社会人の再教育の場足り得ない。制度上は15歳で高等教育機関に在学し、博士号を持つ教員が学習指導要領に基づかない大学に準じた教育を施すが、見た目は実技を別とすれば高校と大差はない。

 

後は世界に目を向けると、米国にコニュニティー・カレッジが、英国に一連のポリテクニックと呼ばれる職業訓練的な高等教育機関があった。が、前者は近隣の大学傘下に入ったり、後者は大学に昇格して外からは見分けがつかなくなっていることが多い。ロシアにも工科大学があってPolytechnic Universityと明記されていたが、教育改革による質向上に伴いNational Researchが冠され、トムスク工科大学は立派に「国立研究大学」の仲間入りを果たしている。

 

やや特殊な高等教育機関では、フランスの理工系名門校エコール・ポリテクニックがある。紋章が示唆するように軍関係の大学だから最新の複合技術が投入されていなければならないのは当然であろう。紋章に添えられた理念の内容からすれば、最高の文言が綴られている。

 

↑エコール・ポリテクニックの理念

 

追記:エコール・ポリテクニックは、カルロス・ゴーン(日産自動車)の母校である。その理念が伝える内容は極くシンプルであり、最高レベルの複合領域にまたがる知識を企業や社会と一緒に学生が生産し、共有していくこと・・と謳っています。