❏就職氷河期世代の台頭
ある意味で、嬉しく感じる。過去40年間は受験体制が崩れず、教育産業もマスコミも大学・高校を序列化することに便乗してきた。ホンキだったら失礼であるが、私には悪乗りしているように感じた。でも、もしかしたら当事者は真剣だったのかも知れない。巷では今も、予備校や塾の看板が賑わっている。つい最近まで、「受験・・受験・・」の風が吹いていた。今後もしばらく残り香があるかも知れない。しかし、文科省の学習指導要領次期改訂を推進させているチームをウォッチしていくと、そこに一言も、受験とか偏差値とかの文言は登場しない。キーワードは「正解のない問いを発する」、つまり「探究学習」、ハッキリ言えば「独創研究」で「受験勉強」ではない。

そんな高尚なことは無理・・との声が聞こえてきそう。だが、何人の人生も筋書きのないドラマだ。正解がある問題練習を百年続けても、何も「生きる力」に化けることはない。単に学校と塾の二重投資を強いられ、職場を倍増していただけの期間だったのだ。その失われた40年間で日本は弱体化し、このまま自然死を迎える運命だったのだ。間抜けな問題練習を「素振り」のように延々と続け、それが学校の勉強だと騙されてきたのだ。「結婚」詐欺ならぬ、要するに「学校」詐欺に遭ったのだ。実際、受験体制は野生動物を「餌づけ」していく行為。日本の子どもは野性味を喪失して行った。最近も、有名大学の学生インターンに遭遇したが、目が曇り感性も鈍っていた。成功者のようでいて、失敗作だ。日本の高級官僚が中国の「ハニートラップ」に対して際立って脆弱なことも「根」は同じに思える。世界と闘える野生味など、とうの昔に喪失しているかのようだ。

❏国家が存続するための条件
日本を代表するような大企業(シャープ、東芝)が軒並み、風前の灯火であろう。それは偶然だろうか? それとも必然だろうか? 1社や2社では済まない。到底、偶然とは思えない。弱体して行ったのは家電メーカだけではあるまい。どうも素振りの練習ばかりして、実戦経験の浅い幹部がトップに君臨してきたのは間違いないのだろう。言わずもがなの受験秀才=「良い子」だ。元ソニー常務の天外伺朗氏は、この問題を早期から、彼独特の視点で鋭く指摘をしてきたと思う。ソニーもオリンパスも倒産こそ免れているが、かつての覇気はない。あのパナソニックですら短期間で電池事業で組み込んだり差し戻したり、右往左往と迷走しているかのように見える。


↑『2016入省案内総合職』より(文科省)

受験勉強のような伸びの期待できない「箱庭」から一刻も早く脱却した方が重篤化から避けられる。それで景気を良くしようとか、一億総参加で元気づけようとか、カラ元気にもほどがある。臭い匂いは、元から絶たなければダメ。教育デザイン室長として文科省の動向をモニタリングしてきたが、年度の変わり目を機に公式ブログの記事に本日、最新情報をアップした。そこには、古めかしい日本型の学習システムの痕跡は微塵もなかった。さあ教育現場、どうする? 私は大歓迎だ。私は官・民揃っての40代の台頭を嬉しく思い、そして全力で応援しよう。これこそ、私の最後の務めだ(竹内)。

付記:受験秀才と思しき「良い子」が「天才」を駆逐し、組織を硬直化させ、弱体化していく問題を日本で早期に指摘し、警鐘を発してきたのは他ならぬ元ソニーの天外伺朗氏である。私が都庁に入って数年して職員の自主研究グループのゼミ活動で話題になったので初版の『人材は「不良社員」からさがせ』(講談社ブルーバックス)が出たのは1980年代の後半だと思う。一旦、絶版になった後、現在は講談社文庫で復活している。彼の警鐘は、今さらながらに的を得ていたと証明された感がある。あれから30年近く、経ってしまった。決して手をこまねいていた訳ではないのだが、誰も手の下しようがなかった。すまない。