❏国の施策SSH及びSGH事業のストラテジー
文科省は現在、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とスーパーグローバルハイスクール(SGH)を別個に立ち上げている。高校によっては、同一校で両者の指定を受けているケースもある(例として、大阪府立豊中高校)。両者は別プログラムとして動いている感がある。

しかし、科学と英語は論理性の高さゆえ、両者の親和性は抜群である。私は別個に学ぶべきではないと考えている。つまり英語を組み立てる論理性は科学に通じるし、科学の別個の事項を互いに関連づけ、類推していく力は英文を読み取り、英文を書いていく過程で磨かれていく。

さらに類推力を行使し、(訳読でなく)英文を直接、読み書きしていく力が育っていくと、驚くべきことに科学の実験や観察を進めていく際に「気づき」や「発見する」力が育ってくるのだ。

❏英語と科学の学びは相乗効果をもたらす
通信制高校の中では、目下、ルネサンス大阪高校が「スーパーサイエンスコース(SSC)」を掲げ、最大手のクラーク記念国際高校の横浜キャンパスに「グローバルサイエンス専攻」コースを擁している模様である。ウェブ情報によれば、「理数教育と英語教育の両立を目指す」とし、明らかに国が進めているSSHとSGHに2分する施策と異にするが、私自身がゼロから教育をデザインしたとしても英語と科学を不可分の存在として扱うことであろう。何しろ科学を生んだ国の言語が英語(及び近隣ヨーロッパ語族)なのだ。


↑ファラデーのクリスマス講演(19世紀)

❏大阪校SSCでは、生徒のポスター発表を英文化の方針
英語は「教科」として独立させて学ぶより、科学を実践していく手段(道具)として学ぶことで実践的に使える英語が習得できるとする、ESP(English for Specific Purposes)の考え方がある。SSCでは、ESP英語学習法に基づき英語の運用力を短期間にブーストさせる実践活動を進めている。今年度は5月に3日間、8月に3日間、間欠的に集中指導することで「ある単語の次にどんな単語が来るか」を予測する思考回路の形成に成功した。これは英語や科学に留まらず、思考や感性を高める効果が顕著だった(実際、被験者は文系の生徒だった)。

これまでの学校教育は、学校や教員の事情で規定されることが多かったが、教育の最大の目的は生徒を成長させることに掛かっているので学習者主体(learner-centered)で設計されるべきであり、その一つの具体的な方策が「目標を掲げてしまう」ことであると考える(竹内)。

付記:前任の呉工業高等専門学校で教育デザイン室長を兼務していた関係で知り得た事実であるが、交流提携先の一つ、ロシア(西シベリア)のトムスク工科大学は、国の施策により研究大学院大学に昇格する際、英語科教員を各専門学科に再配置し、各専門分野を支援する方向へ大きく舵を切った。その間に10年間にも及ぶ摩擦抵抗は生じたが、最終的に改革に成功したと伝え聞く。実際、私は2名のロシア人留学生の受け入れでお世話する機会があったが、日本が初めての海外留学であったことは彼らの口にする英語が訛りが一切ない標準英語であったことから明らかであった。その後、日本への留学実績で自信をつけた彼らは欧米へ留学して行ったと聞く。同じ傾向は、大連からの交換留学生も同じ進化を辿っている。日本の学生たちだけが取り残されている現状を私は憂う。しかも、ロシアでも中国でも英語教育の改革には各々、10年ないし5年間を費やしている。それに反し、日本では英語教育の本格的な改革着手への議論すら出ていない現状に甘んじている。