❏成績で等級づけをして割り振る仕事
どこの学校でも生徒に対し、将来の希望を採るアンケートを採るだろう。しかし、回答の大半が、「わからない」とか「まだ決めていない」なのだ。それも無理もない。それに答えるに足る情報も与えていないし、心構えだって持つように仕組んでもない。学校がしていることと言えば、成績順にトップからビリまで序列を付けること・・それが実態だろう。だから、そう教員の職務を明記してみたら、いっそ目が醒めようが、それもしていない。見て見ぬフリなのだ。

不登校や引き篭もりをテーマにした作品を描いた村上龍氏が『13歳のハローワーク』を書き下ろしたのは、本来ならば学校関係者の役割だったのを代行してくれたのだと思う。それほど当の学校教員の目線は、問題練習の正誤判定や解説にばかり向いていた。教員でなければ務まらない仕事から目線を反らしてきたように私には思える。それも、相当の長い年月を。代々と。疑うこともなく。

❏その人にしか到達できない新境地を
『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの人気キャラクター綾波レイ役の声優、林原めぐみさんは実は看護師を目指していたと言う。ある日、偶然と手にしたアニメ雑誌の広告を見てオーディションに応募したらしい。彼女が綾波レイの役(声)づくりした時の以下の手記には圧倒された。やはり只者でない。


↑『新世紀エヴァンゲリオン』の巻末記事

特に、事実上のクローン人間である綾波レイのキャラが漂わす「感情がない」を「感情を知らない」と監督からの示唆を汲み、自分の感情の海の中を深く深くダイビングして行ったエピソードが触れられている。もう私は「お見事!」と言うしかない。畢竟、一人ひとりの社会や組織の構成員の飽くなき努力が集積して、一つの価値ある結晶が生まれるのだと実感している。

❏新しい教育のあり方をデザインしたい
『大地の川』そして『天空の川』の2作を残した河川技術者の関正和氏は、日本の河川行政の流れを、放水路としての河川から生き物の生息場所としての河川へと大きく変えた。その功績の代償に癌に侵されて40代半ばにて夭折されてしまったが。今も、彼が残した流れは続き、淀川のイタセンパラが天然記念物の魚類として保全されるという恩恵に浴しているものと感じている。
 しかし、一人の人間が一国の流れを変えるということは、命さえ投げ出すまでの事業なのか、と絶句せずにはいられない。ただし、殊、日本の教育に関して私は何の権限もなければ、何も力を出すこともできない。ごくごく身近な生徒らに加勢してやるだけの程度しかできないのだ(竹内)。

付記:上記『天空の川』には、生前に著者との面識があった女優の石井苗子さんによる貴重な証言として記事へのリンクを貼らせて戴きました。恐ろしいことに、これら2冊の遺作も若手の河川研究者らに伝わっていないことを知って愕然としました。その無念な想いも重ね合わせてのことです。