かつて日本を飛び出した人間として気づいたのは、日本製品は世界中に知られているけれど、日本人像は余り伝わっていないことです(分かりやすく言うと、ノッペラボウなのです)。無論、機密事項であるのなら、それは門外不出にしなければなりません。でも、そうでないなら英語での発信力に欠けるか、または怠慢なだけです。

今日はイタセンネット(淀川の天然記念物を保全する市民運動)の活動日でしたので、保全活動の中心人物である上原一彦さん(水生生物センター)に打診してみました。「市民運動として多彩な角度から参画戴けることは大歓迎です。」とのお言葉に励まされ、イタセンネットの活動紹介を皮切りに、大阪校のスーパーサイエンスコース/環境保全クラブが関係している教育研究の活動実績を英語で発信することで、海外との情報交流を促し、ひいては生徒の英語力の向上はもとより、科学・技術が社会にどう関わっていくのかを学ぶ場を創出していくことにします。

本来、「架け橋」という文言を使いたかったのですが、日本の政府機関が既に多用していますし、元が日本語なので、英語圏でも通用する略称として、SciTechSoc(サイテックソク)をプロジェクト名に冠することにしました。「STS(科学技術社会論)」と略される一般的な学術研究分野でもあります。

実は、私が情報の伝達が偏っている事実に気づいたのは、初めて英国を訪ねた1993-94年です。日本で一度も目にも耳にもしない情報が、英国の大学図書館(当時、Leeds大学工学部に客員しました)で繰り返し繰り返し遭遇したことです。これは、どういうことかと言うと、海外から日本に入ってくる情報が「言語のフィルター」が掛かっていることで、とても偏っている事実を自覚したのです。

最初の気付きの発端は、英国Norwich(ノーリッジ)にある湿地帯でした。同一の場所なのに呼称が多彩で、ブロードランドとも、ザ・ブローズとも、ノーフォーク・ブロードとも呼ばれます。今ならネット検索で観光情報としてヒットすることもありますが、当時は日本では無名の土地でした。そこが現地で新規情報として発掘できたのです(当時、英国人が英国人限定の行楽地として維持したかった感も漂っていましたが)。


 ↑ジョージ博士と彼の著書(モノグラフ)

その土地を扱った書物と著者のことが英国の生物学関係の雑誌の書評で紹介されていました。何と著者は定年前から準備を始め、1人で分厚いブロードランドに関するモノグラフを書きあげ、自費出版していたのです。私が本を注文すると、直ぐ送られてきたので現地案内を頼みました。後に英国のテレビ番組で案内人として登場していた博士から直々に、案内を受けた訳です。地元の自然保護協会の職をリタイアし、叙勲(OBE)を受けた直後だったかと記憶します。環境保全に励む方なので、どう案内してくれるか?きっと排ガス出す車なんか乗らないのだろうな・・と案じていたら何と、真っ赤なMGという2人乗りの小型のスポーツカーをブイブイ言わせて来たのでビックリでした。

本日、環境保全クラブが淀川のイタセンパラ保全活動に参加しました。城北ワンドでの淡水魚保全活動は「環境大臣賞」を受賞するほど国内的な価値があるだけでなく、海外に知られて然るべき活動です。それを英語で情報発信していく役割を担うことで、本校の高校生が作られた教材では学べない「生きた英語」を学びつつ、まだ出会っていない海外のカウンターパートに想いを馳せつつ、出会う機会を創出していく活動が始まります。今、決めちゃいました。自分たちの進む進路は自分たちで決めて行く。これが、大阪校のスーパーサイエンスコースの流儀です(竹内)。

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イタセンネットの保全活動を世界へ発信