ある大学院生の研究事例を紹介した昔の授業まで遡ることができることに最近、気づきました。
大学時代、めったに授業に出なかった私です。正直、授業へ出ても本に書かれている内容ばかりで、授業を聞くより自分で実験していたい・・という想いの方が強く、講義室(階段教室)の斜向かいにある学生実験室で、授業中も勝手に自分の実験をしていました。
私が国立高専の職を辞し、通信制高校の通学コースのサイエンス教室で生徒を好き放題にさせたいという考え方の原点は、自由に謳歌させて貰った中学時代の科学教育センターでの学びを、高校の継続の道が絶たれ、大学時代に挽回しようとしていたのだと思います。
私は、たまたまその授業で紹介された大学院生が行ったという研究をあらましを説明されて、そんな考え方があるのか・・とびっくりしました。何しろ紹介された内容は、どんな本にも書かれてはないような内容だったからです。その時の話題を紹介しておきます:
キンギョの長く垂れた糞を集め、光合成活性を測定したら糞の中に消化できなかった緑藻がいて、糞の中で光合成する力を残していたことになる・・という実験の結果と考察でした。さらに、先生が付け加えたのは、この緑藻が金魚の消化管を通る間、緑藻が消化されるどころか、逆に消化管の中の他の有機物残渣から栄養塩(窒素やりん)を奪い取っているのではないか・・という解釈でした。
それまでの常識では、キンギョはミジンコなどの動物プランクトンと一緒に植物プランクトンも摂食し、消化管の中で栄養を消化・吸収しているという図式です。それが、ここでは逆転していて、緑藻には硬い殻があって穴だらけの珪藻のようには消化できない・・という注釈も添えられていました。なかなか思いつかない発想だと思いますが、学生の身でありながら妙に納得させられたものです。講義の主は手塚泰彦助教授(後の京大教授)、採り上げられた話題の大学院生は、ずっと後になって中本信忠・信州大学名誉教授だった・・と知りました。

↑高校時代の中本先生(2014、大阪校で)
実は中本先生には再度、驚かされる研究があり、水の汚れを生物で測るBOD試験の根拠である「リービッヒの最少律の法則」を、これまた逆手に採るMBOD試験を考案されました。つまりBOD試験は有機物だけが制限となるよう他の無機栄養素を補完し、酸素消費量を測定して求めます。それに対し、MBOD試験は有機物を不足しないように過剰に与え、逆に不足する無機栄養素を酸素消費量で見極めようという裏ワザです。私はこの原理を知った時には「コロンブスの卵」みたいな逆転の発想だと心底から「よくぞ思いついたものだ」と感心したものです。
振り返ってみると、学生時代に耳にした1回の授業のエピソードが私に鮮烈な印象を与え、その後の私の人生の中で細やかな発見へと導く「エンジン」となってくれたことに気づいたのです。
このことに気づいて以来、私は意識して「学習内容」でなく「着想方法」を事例を通じて若手に伝えるように務めています。多くの学習者は教科の内容を身につけることが「勉強」だと信じて疑いません。だから大変です。しかし、縁ある受講者、さらに私のコースを選択してくれた生徒には余すところなく伝授しているつもりです。私は人から受け取りました。だから人へ渡して行きます。「内容」でなく「方法」を教えたいと私が強く願う原点も、ここにあるのです(竹内)。
大学時代、めったに授業に出なかった私です。正直、授業へ出ても本に書かれている内容ばかりで、授業を聞くより自分で実験していたい・・という想いの方が強く、講義室(階段教室)の斜向かいにある学生実験室で、授業中も勝手に自分の実験をしていました。
私が国立高専の職を辞し、通信制高校の通学コースのサイエンス教室で生徒を好き放題にさせたいという考え方の原点は、自由に謳歌させて貰った中学時代の科学教育センターでの学びを、高校の継続の道が絶たれ、大学時代に挽回しようとしていたのだと思います。
私は、たまたまその授業で紹介された大学院生が行ったという研究をあらましを説明されて、そんな考え方があるのか・・とびっくりしました。何しろ紹介された内容は、どんな本にも書かれてはないような内容だったからです。その時の話題を紹介しておきます:
キンギョの長く垂れた糞を集め、光合成活性を測定したら糞の中に消化できなかった緑藻がいて、糞の中で光合成する力を残していたことになる・・という実験の結果と考察でした。さらに、先生が付け加えたのは、この緑藻が金魚の消化管を通る間、緑藻が消化されるどころか、逆に消化管の中の他の有機物残渣から栄養塩(窒素やりん)を奪い取っているのではないか・・という解釈でした。
それまでの常識では、キンギョはミジンコなどの動物プランクトンと一緒に植物プランクトンも摂食し、消化管の中で栄養を消化・吸収しているという図式です。それが、ここでは逆転していて、緑藻には硬い殻があって穴だらけの珪藻のようには消化できない・・という注釈も添えられていました。なかなか思いつかない発想だと思いますが、学生の身でありながら妙に納得させられたものです。講義の主は手塚泰彦助教授(後の京大教授)、採り上げられた話題の大学院生は、ずっと後になって中本信忠・信州大学名誉教授だった・・と知りました。

↑高校時代の中本先生(2014、大阪校で)
実は中本先生には再度、驚かされる研究があり、水の汚れを生物で測るBOD試験の根拠である「リービッヒの最少律の法則」を、これまた逆手に採るMBOD試験を考案されました。つまりBOD試験は有機物だけが制限となるよう他の無機栄養素を補完し、酸素消費量を測定して求めます。それに対し、MBOD試験は有機物を不足しないように過剰に与え、逆に不足する無機栄養素を酸素消費量で見極めようという裏ワザです。私はこの原理を知った時には「コロンブスの卵」みたいな逆転の発想だと心底から「よくぞ思いついたものだ」と感心したものです。
振り返ってみると、学生時代に耳にした1回の授業のエピソードが私に鮮烈な印象を与え、その後の私の人生の中で細やかな発見へと導く「エンジン」となってくれたことに気づいたのです。
このことに気づいて以来、私は意識して「学習内容」でなく「着想方法」を事例を通じて若手に伝えるように務めています。多くの学習者は教科の内容を身につけることが「勉強」だと信じて疑いません。だから大変です。しかし、縁ある受講者、さらに私のコースを選択してくれた生徒には余すところなく伝授しているつもりです。私は人から受け取りました。だから人へ渡して行きます。「内容」でなく「方法」を教えたいと私が強く願う原点も、ここにあるのです(竹内)。