カップ麺の作り方


窓の外は、雪が降っていた。遠くの山の端が白くかすみ、空と地とが一つに溶け合っている。私は、何も考えずに立ち上がり、ひとり台所に向かった。


白い手で、棚の奥に手を伸ばすと、カップ麺があった。艶のないその容器は、まるで初冬の朝に拾った貝殻のように、静かで、言葉少なげであった。


私は、やかんに水を汲み、それを火にかける。火の赤さがやかんの銀にうつり、あたたかい夢のように滲んだ。



水はやがて、音もなく沸き立ちはじめる。私は、蓋をそっと剥がし、乾いた麺を見つめる。その渦巻くかたちには、どこか人生のような、ひそやかな諦念があった。



粉末の袋を開け、ふわりと中身を振り入れる。わずかに漂うスープの香りに、私は幼い日の縁側を思い出す。母の膝に頬を寄せていた、あの冬のことを。



沸いた湯を注ぐと、湯気が立ちのぼり、窓辺の淡い光と交わった。私は蓋を閉じ、じっと時を待った。三分。

けれどその間に、雪は音もなく深まり、世界はまた一つ白くなったように思われた。




蓋を開けると、そこにはもう乾きではなく、やわらかさがあった。私は液体スープを加え、箸をひと差し入れて、静かに混ぜる。

香りがふくらみ、まるで記憶が匂いになって戻ってきたかのようだった。



一口すすったとき、胸の奥にわずかなぬくもりが灯った。それは人に言えるような幸福ではない。


けれど、言葉にならぬ慰めが、たしかにそこにあった。