「准君、ドキドキしてないもん」
付き合いが三年近くなったからか、ドキドキじゃなくてあたたかく癒されるってこともある
彼女が裸で抱きついて来たら、ドキドキしまくりだけど
こういう雰囲気で抱きつかれたら、嬉しさと幸せな気持ちで満たされる
それをうまく説明できる気がしないから、黙って背中を撫で続けた
ムッとしていた表情が和らいでいくのが感じられる
こういう時間が真珠のように思える
貝殻の中で大事に大事にしていたい
二人だけの時間
そんなことを考えていたら急に両頬を両手で挟まれたから、撫でていた手が止まる
「准君」
名前を呼んでじ----っと見つめられる
「キスしちゃうから」
「?!」
そんな予告をしたと思うと、そのままゆっくりと膝立ちになり
スローモーションのように俺のおでこに彼女の唇か近付き
「ちゅっ」
小さな音を立てて唇が触れた
「・・・・・・・・・・・・ふふふっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「真っ赤~」
言われなくても頬や耳が熱いからわかっている
たぶん俺は今真っ赤なんだろう
「やったね!」
「弄ばれた・・・」
完全にやられた
不意打ちは弱いんだ
格闘技系では不意打ちでもそれなりに対処できる
だけどこういう・・・・・・恋愛系はダメだ
「CDの特典映像で健君にキスされて真っ赤になってたよね~」
あ
あれのマネだったのか