「そんなにリアルだったの?」

 

 

「・・・すっごく」

 

 

目が覚めてからも動けなかったぐらい。

 

 

でも今、私の耳から体全体に優しく響く彼の心臓の音こそが現実

 

 

彼がいつも使っている洗剤の匂いと彼自身の匂いが混ざった匂い

 

 

私より体温が高い気がする体

 

 

「もう俺に話したから安心した?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・うん」

 

 

一応これで正夢にはならないと思う

 

だけど安心したかと言われたら

 

 

……………………… 

 

 

だって今朝だもん。

 

数時間前だもん。

 

そんなきれいさっぱり忘れたりはできないよ。

 

 

私の両肩に彼の手がかかり、そっと顎を掴まれ上を向かせられる

 

 

キスされる・・・・・って思って目をつぶったら

 

 

ぶにっ

 

 

「ㇷぁに?!」

 

 

彼が長い指で私の鼻先をつまんでいた

 

 

「ウソつき」

 

 

とっさに言い返すこともできず、フガフガ言ってしまう

 

 

「そんなうそつきちゃんは体でわからせないとダメだな」

 

 

そう言うと、私の鼻をつまんだまま、顔をかたむけ器用に唇を寄せてきた