母の説明を聞いたところによると、麻薬取締官はかなり危険な職業なので家族を持つことに抵抗を感じる人が多いらしい・・・・・・・・・
って、何をみてるの?我が母は。
警察系のドラマが大好きで、時代劇も大好き。推理物も大好き。
そんな母かんがえた結果、私の彼は麻薬取締官となった・・・。
でもまぁあてはまるよね。
一度撮影に入ったら数ヶ月会えないとか。
何の仕事なのかわからないとか。
これはたぶん聞いたら教えてくれるかもしれないけど、ファンでもあるからそれはルール違反な気がして聞けない。
ファンが知るタイミングまでは。
彼の職業も人には言えない。
そして結婚は…出来ない。
例えば10年後とかなら…とも思うけど、その時彼は46歳。坂本さんを見てる限りまだまだアイドルで人気だから。
それなら15年後?50歳になっていたら…。その時私は44歳…。
一緒にいられるなら他に求める気はない
いつだってそう思う
いつか子供が産めない年齢になったとしても
だけど友人の結婚式に参列するとやっぱり少し気持ちが揺らぐ
少し・・・よりちょっと多くの時もある
「マトリだと一生結婚できないかもしれないけど、いいんだね?」
母の中で彼はマトリで決定されたらしい
「・・・・・・・・・・うん」
明日の気持ちはわからない
だけど今の気持ちはそうだから
彼と一緒にいられるなら、他の選択はない
湯呑を手に取る
「熱っ」
一口含んで火傷する
「火傷した~」
「バカな子だね」
母の淹れてくれるお茶はいつも熱湯に近い
緑茶のいれる温度はそれじゃダメと言っても、昔からの習慣だし好みだからと変えられないらしい
「バカな子でごめん」
結婚できない相手を選んでごめん
わかってるのにいつも火傷するようなバカ娘でごめん
親孝行できなくてごめん
心配させてばかりでごめん
だけど幸せだから
「あんたが健康で幸せならいいさ」
「孫はあたしが産んであげるから!」
黙って聞いていた妹が胸をドンと叩いて宣言した
「相手いるの?」
「これから探す!」
まったくこの子はって母と三人で大笑いした
涙が滲みそうになったのは火傷したからと笑いすぎたからってことにしておく