「おすすめのお店、全部案内してよ」
それって、私も一緒にってこと?
20年後にも一緒に・・・ってこと?
軽々しく言葉を口にしない彼のこの言葉
「ん~でも今のおすすめのお店、20年後もあるかわからないけど」
心の中に浮かんでしまった考えに気づかないふりをする
「そしたら20年後の○○がおすすめだって思うお店に行こうよ」
それって・・・・・・
消そうとしていた考えがまた浮かんできてしまう
自分の都合のいいように受け取っちゃうよ?
彼の事務所、職業、その関係で
普通の彼氏彼女が思い描く未来は見ないふりをしていた
私は彼のファンであることが先だったから、ファンである気持ちが一番にくるから
一緒にいられるだけで幸せ
彼の口から名前を呼ばれ
私だけをその瞳にうつしてくれて
誰もが触れたいと思う彼に触れられて
彼のプライベ-トの時間を
少しだけでも共有できるってことが幸せだから
「いい?」
それ以上の明確な言葉は口に出せない彼の立場
今言える最大限のことを私に伝えてくれた彼
それだけで
いつか何かが原因で別れなければいけない日が来たとしても
幸せだったから
すごく幸せで大切な時間を過ごせたから
彼と出会う前に何度戻ったとしても
やっぱり彼と出会う人生を選ぶよって
言えると思った
「うん・・・・・」
滲みそうになる涙を見せないように、頷くことしかできない
「その頃は和菓子系にいってるかもな~」
彼が少し笑いながら未来の話をする
ねぇ
あなたの未来に私も一緒にいていいのかな
ずっと好きでいさせてってことだけじゃなくて
一緒にいるってことを夢見てもいいのかな
薄暗い部屋にいるからだけじゃない理由で視界がぼやけてしまう