休日の昼間に駅で待ち合わせる
俺が先についていて、彼女が改札から出てくるのを見つける
黙って見ていたらキョロキョロしていた彼女が俺を見つけ、ふわっと笑顔になり小走りに駆けよってくる
そんな彼女に嬉しくなって、そこからどちらからともなく自然に手をつなぎ彼女の歩調に合わせて歩き出す
スイ-ツ好きの彼女が行きたがっていたお店は混んでいて行列だったけど、二人で並ぶなら1時間だって楽しく待てる
お店に入ってからは二人で頬を寄せるかのようにメニュ-をじっくりと見て悩んでやっと選ぶ
運ばれてきた色とりどりの季節のフル-ツケ-キを見て、目がキラキラと輝く彼女をみていたら
俺の胸はきゅ~っと甘く絞られる
そんな普通のデ-ト
それが出来ない俺の仕事
自分の仕事は好きだし誇りも持っている
だけど
こんなとき
どうしようもない気持ちに胸が引き絞られる
「准君・・・あのさ、准君は私とデ-トしたいって思うの?」
俺の本心を探るような彼女のまっすぐな視線
「・・・・・・・・・ん。でも俺、ちゃんとしたデ-トってしたことないから・・・」
中学生のころ付き合った、というか、彼女と呼ばれる女の子はいたことがある
だけど中学生の付き合いなんてただただ照れくさくてお金もないわけだし、図書館行くとか一緒の帰り道でちょっと買い食いするぐらいだった
だからドラマや小説の中で見聞きするようなデ-トってものをしたことがない
「ちゃんとしたデ-トって決まりはないでしょ。」
「・・・・・・・まぁ、そうだけど」
だけど二人であちこち出かけていろんなことしたいって思うだろ
「私は准君と一緒にいられれば、それがいつだって一番のデ-トだと思ってるよ」
彼女の気遣いか・・・
「准君。」
俺の気持ちを読んだかのように頬を彼女の手が包み込む
「好きな人と一緒に時間とか共有できるのがデ-トなんじゃないかな」
ぽにゅっと頬をつぶされる
「外でのデ-トも楽しいとは思うけど・・・・・・・・その・・・・・うちで二人っきりでイチャイチャできるのが私は嬉しいから・・・・・」
「いてっ」
頬をみよ~んと伸ばされる
「だから准君と会えればどこでもそこが一番嬉しいデ-ト場所になるんだよ」