「大丈夫だから・・・ほら」




そう言って私のお腹に手を乗せ




優しく撫で始めた




円を描くかのようにゆっくりゆっくり




優しい熱が彼の手のひらから伝わってきて




じんわりと癒されていく




「手当って言葉はその通りだね」




「・・・あぁ、そうだね」




ゆっくりとうなずく




手をあてることで治る




昔からのこと




それはその相手を思いやる気持ちが手から出てるからなんじゃないかなと思う




「准君・・・・ありがとう」




お腹も心もポカポカあったかくなって




満たされた気持ちになる




「んふふっ。さっき言ってたこと・・・・・・・楽しみにしてるから」




さっき言ってたことって・・・・・・




「な、なしにしてっ。」




さっきはさっきで




今度は今度だもんっ




「だめ~。あんなに大胆なこと言われちゃったんだから。楽しみだな」




ニヤニヤニヤニヤ



いつもは強い目線が



柔らかく細められて


目尻に大好きなしわ




これから




24時間テレビにコンサ-ト




映画の公開も




すっごくハ-ドだと思う




きっとまた一か月以上会えない




だから




「・・・じゃぁ・・・・・・・次に会ったときまで准君が忘れなかったら・・・・」




私の思いがけない返答に




言ってきた彼の耳が瞬時に真っ赤に染まって




私から目をそらし口元をきれいな手で覆う





「・・・・・・・・・准君が言ったのに~」




そんな照れられたら私の立場はどうなるの~?!




「・・・・・・・・ん。」




短くうなずき




そのまま私を胸に抱きしめ




頭の上にぽふんと彼の顎が乗っかった




「忘れないうちに会えるようにするから・・・・・・待ってて」




どんなに時間がたっても



彼とのことはどんなことだって忘れるわけない




どんな小さな会話も




私にとっては宝物だから




「うん・・・・・待ってるね」





待ってる時間は幸せ




次に会えるって約束があるから




そのまま



抱きしめられて




日々あった小さなことをお互い話して




いっぱい笑って時間まですごした




明日からまた待つ時間になるけど




優しく撫でてくれた彼の手を思い出して



またがんばろうって思った






終わり