やっと



やっと




とれた彼女と会う時間




残業だとしても俺が着く頃には終わっているだろう



そう思ってメ-ルをしたら



会えるとの返信で



一気にテンションが上がる




この時間の道路はけっこう混んでるから余裕をもって2時間後としたけど



予想に反してすんなりと家に着いた



ただ



実はまだ雑誌のインタビュ-と撮影が入っていて



場所はうちの近くだからギリギリまでいたとしても



22時すぎには出なければいけない



スマホの時刻は20時14分



[着いたよ]



彼女にメ-ルをしてみる



そうしたら



♪♪♪



[もう行っても大丈夫なの?]



送信した途端に返信が来た



どうやらもう近くまで来ていたらしい



俺に会いたいと思ってくれてたのか



そう考えると



一秒でも早く会いたくてたまらなくなる



[大丈夫]



そう返信して数分もたたずに




チャイムが鳴ってドアを開けると






「准君っ」



彼女が飛び込むように入ってきた



真っ赤な頬



額に薄っすら汗



俺のメ-ルを見て



走ってきてくれたのか



「○○」



会いたかったという言葉さえももどかしく



靴を脱いだ彼女を




さらうかのように抱きしめる




柔らかな髪に指を絡め



胸の奥深く閉じ込めるかのように



ぎゅうっとする



久しぶりの彼女の匂いと体温に



自分がどれだけ彼女を欲していたか思い知らされる



腕の中に彼女がいる実感を噛み締めていると



彼女の手が



ぽふぽふ



と俺の腕を叩いてきた



岡「ん?」



「・・・・・・・ちょっと苦しい~」



気付いたらかなりの力で抱きしめていた



慌てて腕を緩め



岡「ごめんっ」



ぷはっと俺の胸から顔を上げた彼女は



「ううんっ、嬉しかったから」



そう言って


ほんりゃりと微笑んでくれた


それから急に


本当に急に



ボンッ



て音がしそうなぐらい急に



真っ赤になってしまった彼女



岡「⁈どうかした?」


何もしてないのに



「あ…っとね、久しぶりに会ったから…」


そうだ、一カ月半以上会えなかったんだ


岡「ごめん、なかなか時間とれなくて」


なるべくメールや電話はしてたつもりだけど


健君に聞いたら少ないって言われるかも



「それはお仕事だからいいの。そうじゃなくて…久しぶりに会って……やっぱりかっこよすぎるんだもん」



眉根をクッと寄せて唇を尖らせる


無理やり怒ったような顔


そして真っ赤になった自分の頬を


両手でペチペチと叩いている


岡「……」



「准君…真っ赤だよ」



かわいい顔してかわいいこと言うから



こっちまでつられて赤くなってしまった