「好き。大好き」



何の混じり気もない



澄んだ彼女の言葉



俺の心に雫となって落ち



優しい波紋が体中に広がっていく



言葉にしなくても伝わることもあると思う



けれど親しければ親しいほどに



敢えてわかっていることを言葉にして伝えることも大事だと思う



なんて



本音はあんなひどいことをしてしまった後だから



彼女の口から



その言葉を聞いて安心したかった



そんな小さな俺



「准君は?」



岡「え?」



「伝えてくれないの?」



そんな小さな俺の心を知らないままに



どうしようもなく嬉しいおねだりをしてくれる



だから



ちゅっ



岡「愛してる・・・」



「ずっ・・・ずるいっ」



真っ赤なほっぺたで抗議の声



なんでずるいんだ?



同じ言葉で返すべきだったとか



「そんな顔してそんなこと言われたらふにゃふにゃになっちゃうでしょ~!」



プンプンしてるけど



岡「顔は生まれつきだからどうしようもないんだけどな」




「そんなのわかってるもんっ!!」



今にも緩みそうなのに頑張って引き結んでいる唇がかわいくて



ちゅっ



「そっっんなことしたってごまかされないんだからっ」



なにをごまかすんだか



岡「何もごまかさないけど」



ちゅっ



ちゅっ



ちゅっ




「んっんんっ」



かわいくないことを言い出すかわいい唇を封じる



そのままふんにゃりと力がなくなった彼女



岡「んふふっ。今夜はもう何もしないから・・・・・・・」



本当はさっきまでの一方的なひどい行為を消したい



彼女の体の隅々まで丁寧に愛して



だけどきっと彼女の体には負担になるだろうから



「・・・・・・・抱き枕?」



岡「ん。」



頷いて彼女の頭をそっと胸元に引き寄せ抱きしめる



岡「苦しくない?」



「大丈夫」



おとなしく俺の胸に頬を寄せている



「おやすみ」



急にさっきまでの疲労が押し寄せてきたのか



そう言うと少し頭をもぞもぞさせていたけれど



あっという間に規則的な寝息が聞こえてきた



岡「おやすみ」



もう聞こえてないだろうけど



そうつぶやいて



もう一度彼女が寝にくそうではないか確認して



幸せなぬくもりを胸に感じながら



俺も瞼を閉じた



終わり