いつも図書館や本屋には1人で行って好きなだけブラブラするのだけれど、いつか…岡田さんと行ってみたいな。

無口な岡田さんが本のことになると饒舌になるし。
話し疲れてお互いコーヒーを口にする。
そんな沈黙もまた心地いい。
不思議と緊張もほぐれてきた感じ。

「そういえば…」

岡田さんがコーヒーを置いて私を正面から見た。

「筋肉つけたいの?」

覚えててくれたんだ。
あの電話のあと、いろいろ検索したけどなかなかこれだ!っていうのがなくて保留にしてたから嬉しい。

「うん。もう今は体重落とすとかじゃないなーって思って。体型を引き締めるには筋肉をつけるべきって聞いたから。でも…」

岡「でも?」

「腹筋も腕立て伏せも…一回もできないの…」

岡田さんの大きな目が一回り大きくなった。
まじまじと私の腕を見てお腹を見て、目を合わせた。

「…一回も⁈」

「…中学生のときは出来てたんだけど…」

そんなに驚かれることだったのか…軽くショック。軽蔑されたらどうしよう?ダレた女は嫌いとか⁈

「……ちょっといいかな?」

そう言って彼は私の右腕の筋肉を確かめるように触り出した!(◎_◎;)

フヨンフヨン フニャンフニャン

我ながらそんな擬音がぴったりだと思ってしまう二の腕…。そんな念入りに確かめなくても…泣きたい>_<

「…岡田さん。」

呼びかけた私にハッと我に返った彼が近距離で…赤くなった。

岡「…その…急に無理はしないほうがいいと思うけど。毎日少しずつ腹筋とかと合わせて体幹を鍛えていったほうがいいんじゃないかな」

そのあと彼は私をあまり見ずにいろいろ教えてくれた。

「無理に腹筋がんばると腰を痛めるなんて知らなかったなぁ」

「月並みだけど毎日続けることが一番大事だから。無理せず続けられる程度のことからね」

そう言われてなんだかやる気が出てきた!

ふと時計を見るともう夕飯時だった。

同じく時計を見た彼が

「夕飯どうしようか?」

と聞いてきた。

外食は難しいと思ったし、始めておじゃまするおうちでキッチン借りるのも微妙だなーと思っていた私。

「あの…ミネストローネとか食べるかな?」

岡「作ってくれるの?」

私は持ってきたカバンをゴソゴソあさって、ジップロックを取り出した。

「昨日の夜作ったんだけど。あと近所のパン屋さんのバケットが美味しいから朝買ってきたの。」

撮影で忙しく食生活とか大丈夫かなーと思って簡単だし野菜もいっぱいとれて冷凍もできるミネストローネを作ってきちゃったんだけど…。

岡「保冷剤までいっぱい。だから大きなバックだったんだね…。」

彼がすっごく嬉しそうに笑ってくれた。