日々生活していると

日常になっている空間や環境における出来事は

まま見過ごしがちになってしまいます


ごくごくありふれた日常には

実は自分の生活範疇では計り知れない

非日常があったりするものです


最近は自転車通勤と電車通勤とが

とてもバランスの良い日が続いた


いつものように電車のホームに着き

目的駅の階段近くまで移動していた時

周りの誰も気にしていないのが不思議な光景が

僕の目に飛び込んできた


齢70歳くらいだろうか

身長は僕と同じくらい

服装は

行楽日和の京王線によく見るような

ピクニックもしくは軽い登山ルック

しかしながらその時はド平日の夜六時くらい

ホームもそれなりに人はいるなか

そのご老人は

ひたすらにずっと


正拳突き

の練習をしていた


しかも右正拳だけ



周りは電車待ち

新聞やら携帯やらを読む人だらけの中

ご老体が一人

黙々と正拳突きをしている様はシュール以外の何物でもなかった


ご老体

今日いったい何があった?



その次の日

晴れたので自転車で通勤

新番組の出番一回目なので気合もそれなり

しかしその時は朝から何も食べてなかったので

どこかで何か温かいものを食べようと思っていたが

仕事時間まで20分しかない

近くにファストフードもなく蕎麦やらはちらほらあるが

いかんせん時間がない

そこでふと気が付いたのは

交差点の付近にたこ焼き屋が出来ていた

これは僥倖とばかりにたこ焼き屋でご飯を済ます

持ち帰らず店の前の備付ベンチで食す旨を伝え

焼き上がるまで少しだけ待つ


すると車の喧騒よりもはるかに目立つ

ハックショ

ックショ

等のクシャミの声が聞こえる

横を見ると

たこ焼き屋の横は花屋だった


妙齢のおばちゃんが

クシャミしながら花を摘んだり

整えたり

束を作ったりしているのだが

クシャミで鼻は赤いし眼も涙目になっている


たこ焼きを食している間中

気になって仕方がなく

しばらく観察させてもらっていたのだが

知り合い風のお客とは

鼻は辛そうだが問題なく会話をしている

しかし

仕事に入ると途端にクシャミをしだす

止まらない

辛そうだがなんか風邪でもなさそう

でも仕事の手は止めない

クシャミも止まらない


そんなことを10分ほど観察しながら

アツアツのたこ焼きを頬張り

食後に現場に向かおうとするのだが

一つ気になることがあった


おばちゃん

きっとそれ


花粉症やで




花屋のおばちゃんに幸多からんことを