一生懸命運転に集中しているこちらの思いをよそに
教官が言い放ったその言葉は
「なら、オートマでいいんじゃないですかぁ?↑」
「なら、オートマでいいんじゃないですかぁ?↑」
「なら、オートマでいいんじゃないですかぁ?↑」
はぁぁあああ!?
なら、オートマでいいんじゃないですかだぁ???
おうワレ!確かにわしゃあ30過ぎて免許も持たず
挙げ句にろくに車の事も解らないくせにただただ意地でマニュアル教習受けてエンストこいとるような輩じゃいっ
じゃがのう
おまえわ何じゃい!!
おまえの仕事わ何じゃい!?
その素人をいっぱしにするのが仕事やろうがっ!!
ちまちました厭味や態度やらで気持ちそいで優越に浸るんが仕事やないやろうがっおう!?
こちとら
時間ない中でわざわざ通っとんのじゃ!
たっかい教習料金払った分の仕事すんのが筋だろうがこのドサンピンがぁ!!
と
0.1ミリ秒で思考が駆け巡ったのだが
そんなことを口にする余裕すらない
30歳独身無免許 男性
『そ、そんなことないんじゃないですかね、マニュアルを乗れるようにしておけば何かの役に立つかもしれないですし…』
と
しゃべってる最中
ガコンッ
プスン…ガクガク
本日
二度目のエンスト
「あぁあぁあぁ、喋ってるのに夢中になるからぁ」
「あぁあぁあぁ、喋ってるのに夢中になるからぁ」
喋ってるのに夢中になるからだぁあ!?
まてこらぁ!!
おのれが話しかけてきたんやないかボケェ!!
それにキッチリ返答しようとしたんがわるいんか!?
ちゃうやろが!!
おのれが無意味にこちとら煽るから返答に神経取られてエンストこいたんやろっが!!
なんやねんお前
なんやねんお前
なんやねんお前わぁぁあぁあああ!!
と
心の叫びを世界の中心で叫びたかったが
逆に世界の中心ていったいどこなのかしら?
なんて考えてしまうけれど此処は車の中で今横にいるソフトモヒカンは教官殿で在らせられますれば拙者親方と申すは二十里上方なんていつの間にか『外郎売』のこと考えてしまっているわイケナイイケナイ
と
半ばパニックを起こし始めた頭からは
『ほんと、ホントすいません…』
蚊すらもっと勇ましい羽音をたてるに違いないこと請け合いの情けない言葉しか出てこなかった
そこからのハンドルを握る握力は
リンゴすら潰せる自信が持てた
その後の教習はまさに針のむしろ
というかムシロ
自分の不甲斐なさと
何故理不尽な対応に毅然と漫然と傲然たる態度で反論できなかったのか
と
自分を責め続けてしまい
更に二度のエンストを記録したのでした
車から降りた負け犬の30歳は
教習簿に押されたハンコをじっと見つめ
路上教習で絶対指名してやる!!
と堅く誓ったのでした
あれから5カ月が過ぎた
リベンジどころか免許すら危ういというか既に教習期間内に取得することは不可能になってしまっている自分の体たらくに落胆しつつ
俺は
残された時間で
ヤツに再び戦いを挑むかどうかを
真剣に悩んでいる!!
そんな30歳無免許男はいかがですか?