プチ災難のせいか、ふと昔の出来事を思い出した


今の事務所に移ってまだそんなに経ってない頃だったか


ある夏の渋谷にて仕事帰りに足速に駅に向かって歩いていた


デュークも真っ青な勢いで歩いていた


私は苛々していたのだ


夏の蒸し暑い中、渋谷はやたらと人は多いし
デューク並に腰をクネクネさせて競歩しても
前の道行く人々に阻害されてしまう


いつもなら苛々なんかせず

ひらりん

なんて口ずさみながらかわすところだ


しかし私は苛々していた

猛烈に厠へ行きたかったのだ


下腹部に逸る気持ちと思うように進めぬもどかしさから腰がクネクネしていたのである


そんな渋谷。明治通り沿いに進路を取りハチ公前の雑踏を避けるようにクネクネして、ひらりんのカケラもない不様な歩きを披露しながら駅は近づく


あの信号の手前に行けば都民の憩いの広場タイ〇ーステーションがある

砂漠をさ迷い渇きに餓えるアラビアンの如く

見えるは陽炎に揺れるオアシスならぬタイ〇ーステーション

もうすぐだ

もうすぐでこの楔を断ち切り、クネクネを振り払い、ひらりんと宙空を舞うラッキーの様に軽やかになれる


パート2に続く