パリの地下鉄はメトロと呼ばれる。メトロとは、Métropolitainの略語で、このメトロポリタンは「首都の」「都市の」「首都圏の」という意味(形容詞)だ。Chemin de fer métropolitainとあるので、首都鉄道のことである。実際には「地下鉄」と言われるのに相応しく、大部分は地下を通っているが、高架橋が含まれる路線がいくつかある。

 

 パリの地下鉄の始まりは1号線のPorte Maillot~Château de Vincennes 間で、1900年パリ万博の開会に合わせて開業する予定だったが、結局、間に合わず、数か月遅れの7月19日に開業された。

 現在ではパリに全部で14の地下鉄路線があり、編み目のように運行しているので、パリの何処に行くにも便利である。駅ホームの中央辺りに必ず終着駅の名前が表示されているので、これを見て確認し乗車すると良い。

 又、地下鉄の料金は、何処まで乗っても一律だが、出口(SORTIE)を出てしまえば、手持ちの切符はもう使えない。

 

 一昔前には地下鉄には1等車と2等車の区別があった。それが1991年に1等車は廃止された。この廃止に関しては大変な論議が巻き起こったそうだが、私はそれとも知らず、地下鉄に乗ると「あれッ、いつの間に1等車が無くなったんだろう?」と唖然としたが、朝夕のラッシュアワーを考えると当然と言えば当然だろう。1等席には殆ど人が居ないし、2等席は混みに混んでいるのだから。

 

 面白いことに、全線の車両が同じ規格ではない。例えば、1号線、4号線、6号線、11号線、14号線は鉄車輪に加えてゴムタイヤをもつ「MPxx」系が運用されている。

 金属車輪とゴムタイヤの併用により騒音と制動距離の低減と、乗り心地と発進加速性能の向上が見込まれ、主輪のゴムタイヤがパンクした場合でもある程度の走行が可能で、また構造上非常に脱線しにくい。

 

 尚、最新の路線である14号線は1998年の開業時から、最古の路線である1号線では2011年から、それぞれ無人運転を実施しており、この無人化は他の路線にも拡張される予定である。

 

ゴムタイヤ使用の地下鉄(1号線)