近年、多くのフランス人が日本へ行くようになった。不思議でならないのは、文化も習慣も食生活も大きく違うフランス人が日本になぜ行きたいのか?

 考えるに、理由は大きく分けて次の四点が挙げられるようだ。日本美術、漫画、治安の良さ、料理である。

 

 先ず時代を遡るに、ジャポニスム(日本趣味)というのが今から150年ほど前に一世を風靡した。19世紀後半のヨーロッパである。

 日本美術(浮世絵)は画家を始めとしたフランスの芸術家に多大な影響を与えた。たとえば、セザンヌ、ゴッホ、モネ、ドガなどにである。

 

 時代は下がって、今から30年ほど前に日本の漫画が流行した。当時のフランス人の若者にはドラゴンボールの孫悟空がフォークやナイフではなく、箸でご飯を食べるのが不思議に思えただろうし、又、これをきっかけに日本に興味を持つようになったと考えられる。その後、漫画やアニメが好きになって日本語を勉強する子供たちが増えた。

 30年程前のフランス語版の漫画は、フランス語の他の書籍と同じく左綴じであった。それがいつの間にか日本のマンガの本と同じ右綴じに変わった。このことは、マンガの文化がフランスに浸透していった証拠とも言えるだろうか。

 

左綴じ コマの進み方は左上から右下へ

 

右綴じ 日本と同じで右上から左下へ読む

 

 また、人気漫画「うる星やつら」などで知られる漫画家の高橋留美子さんが、フランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受章したことが本年四月発表された。叙勲式は、東京都内の在日フランス大使館で行われ、同大使館は、「フランスは日本に次いで世界で一番漫画を愛している国です!」と、その熱い思いを表明している。

 

 尚、フランス人に限らないが、外国人が日本の魅力について挙げる三点を紹介しておこう。

1.   街の清潔感。

2.   伝統文化(能、歌舞伎、文楽など)

3.   おもてなし(旅館、温泉街など)

 

 次に、特筆すべきは日本の治安の良さは世界トップクラスであるということ。東京や大阪のような大都市であっても、スリや置き引き、強盗など、身の危険を感じる犯罪はほぼない。次のような感想・意見が寄せられている。

1.店内だけではなく店外に商品を並べおく

2.貴重品の落とし物が高確率で戻ってくる

3.貴重品をパンツの後ろポケットに入れたまま歩いている

4.繁華街では学生や女性一人でも深夜の一人歩きができる

5.飲食店で貴重品やPCをテーブルに置いたまま離れてゆく

6.自動販売機が町の至る所にある(無人販売店舗も含む)

 確かに、海外旅行へ行ったら「荷物は肌身離さず持ち歩く」「夜道は出歩かない」とよく言われるのは、日本とは治安が大きく異なることを表していると言えるだろう。

 

 日本の料理は、フランスの日本レストランでも行列を作る程の盛況だ。スキヤキ、スシ、トンカツ、最近はラーメンも。

「和食」のユネスコ世界無形文化遺産登録が2005年12月13日に決定したこともあるが、最近驚いたことにテイストアトラス(TasteAtlas)という体験型旅行ガイドサイトが本年1月20日に発表した「世界最高の料理2022」に、日本のカレーが世界のトップに輝いた。カレーの元はインドだが、年月を掛けて改良されゆくにつれ、万国共通の愛される味に変化を遂げたと推察される。

 

 大雑把に日本の特徴を示したが、日本は今後世界に注目されるのは間違いないであろう!

 


カレーライス