フランス語になった日本語 

 

 本年、夏季オリンピックがフランス・パリで開催される。期間は7月26日から8月11日まで。柔道も競技の種目になっているのが、楽しみだ。フランスでは柔道人口が56 万人、日本は 17.5 万人。柔道は、フランスで圧倒的な人数を誇っている。オリンピックでフランスが良い成績を収めてから「柔道家」という言葉がフランスに定着した。チャンピオンのテディ・リネールの肩書は柔道家、柔道の選手は柔道家と呼ばれる。彼はわずか17歳で世界の頂点に立った。以後、フランスでは柔道が爆発的な人気を博した。

 ところで、この「柔道家」のように、フランスで一般的に使われるようになった日本語の言葉があるが、最近フランス語に取り入りられた用語を見てみよう。

 

 ジャック・シラク元大統領は相撲の愛好家で有名。フランスで「場所」が開かれたことは周知の通りだ。また、大きなもの、力の強いものとして、テレビなどのコマーシャルに使われたりもしたので、自然と「相撲」という言葉が根付いた。

 

 スポーツでは、空手、合気道(フランスでは意外と合気道人口が多い)等の言葉は一般に理解されているほか、柔道・空手などで有段者が締める黒色の帯のことを「段」と言い、また、その帯を締めている者のことも表す。また、柔道着等の道着のことを「キモノ」と言う。

「道場」は、武道の稽古場所、あるいは、禅修行の場所を指す。

 

 自然に関しては、「津波」であるが、これは世界中で使用されている。

 

 芸術関係では、 (Bonsaï)」はボンザイと発音し、多くの愛好家がいる。「俳句(Haïku)も有名で、フランス語で5、7、5音で詩を作成するのだが、フランスのハイクは季語が入っていない全く自由なものである。

 「カケモノ(Kakemono)」は写真にあるようなものを言う。カケモノは掛け軸とは様相を異にしている。

 

カケモノ

 

 

 もちろん、「漫画」は、特にドラゴンボール』によって知られるようになった。マクロン現大統領もファンである。

  

 食品・料理を挙げると、

豆腐:今ではフランスでも製造される食品。白チーズとも呼ばれフランス人には人気があり、また、栄養食品としてもその地位を確固たるものにした。

味噌:20世紀後半からは、健康効果の研究がおこなわれている。

ラーメン:スーパーマーケットの食品棚に陳列されるようになった。カップヌードルの進出と相俟って、街中にラーメン屋も増えた。パリでは、本格派のラーメン屋さんが人気だ。

かつ丼:フランス人のみならず外国人に受け入れられやすい日本食の一つである。

お好み焼き:人気上昇中!

たこ焼き:最近、フランス人にも人気が出て来ている食べ物。

スキヤキ:これは半世紀以上前に、坂本九が歌った「上を向いて歩こう」が東南アジアを中心にスキヤキソングとして大ヒットし、フランスでも歌とは関係ないが、愛される料理である。

刺身:生身が好まれ、いわゆる生鮮食品として好む。スシ、ニギリ、マキと言われる寿司も好まれる。

おにぎり:最近特に流行っている日本食で、パリの有名店では常に長い行列が出来ている。

シュリミ(Surimi スリミ):即ち、カニカマだが、この食品は数十年前からスーパーマーケットでも販売されるようになった。

山葵(Wasabi):ワザビと発音。いわゆるマスタードの一種と考えられている。

弁当(Bento):外出先で簡単に食べれるということで人気。とは言っても、家で作って外出先で食べるといったものではなく、Bentoを売っている店屋でBentoを買って食べるというものである。

 

 その他にも、

忍者:フランスでも一時期、『トルテュー(亀)忍者』というテレビアニメが流行った。忍者が特に有名になったのは『NARUTO(ナルト)』の漫画本・アニメである。

神風:カミカーズと発音。自爆テロリストのことを言う。

数独:スドクと発音。

カラオケ:1970年代以降、娯楽用の演奏装置そのものやカラオケボックスなどの施設を使って歌うことが増えた。

オタク:日本通のフランス人男性には、往々にしてオタクが多い。

引き籠り:日本の大きな問題。これがフランスでは大々的にニュースとして取り上げられた。

カワイイ:(日本風の)可愛いものに対して用いられる。