さまよう新卒採用、人事部側の論理


新卒採用が本格的に始まった。2008年春卒業予定者の採用は、「昨年を上回る売り手市場」と報じられ、就職情報誌各社も口を揃えて「バブル期に迫る、もしくは超える激戦」とコメントしている。就職希望もしくは会社に関心を示す学生たちの数、いわゆる「母集団数(エントリー数)」は各社とも「前年の7割程度という話もあり、半数にも及ばない」という企業も散見されるという。

今年の新卒採用どうしますか?
名も無き日本企業の人事担当者たちの代弁者である野々村さん。中堅流通のマルコーの人事部長。48歳。熱血漢で勉強熱心。転職したこの会社、マルコーでも周囲の期待に答えようと奮闘する毎日。ただ、要求に真摯に答えようとする余り、身動きがとれなくなってしまうこともしばしば。

野々村さんは来年の新卒採用に関する資料を見ていた――。

流通小売業界はもともと採用に苦戦しがちな業種。ただ、それを割り引いても、今年の採用がかなり厳しい状態にあるのは採用担当者ではなくても分かる。母集団が昨年の同じ時期に比べ半分なのだ。母集団というのは、イベントなど様々な採用プロセスを経て新入社員を確保するための予備軍の数であり、新卒採用においては、この数が問題視されることが多い。

先週、採用チームのリーダーから追加予算の相談を受けた。採用担当者としては「出遅れないように、新たな手を打ちたい」という。採用関連の予算は稟議の時点で多少の余裕は見込んでいる。

http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q1/527808/