1954年、カントリー歌手のマネージャーだったパーカーは、ツアー先で新人歌手のエルヴィスと出会った。化粧をし、腰をくねらせて踊る若者に、女性ファン達は熱狂した。人種分離が合法化されていた当時のアメリカでは、黒人歌手と白人歌手では歌唱法も違ったが、黒人居住区で育ったエルヴィスは、黒人のように歌える白人だったのだ。
エルヴィスの才能に目を付け、専属マネージャーとなるパーカー。パーカーの手腕で、エルヴィスはロックンロールの王者の座に登り詰めた。大豪邸を購入し、家族やスタッフを住まわせるエルヴィス。だが、卑わいなエルヴィスのスタイルは"骨盤ダンス""黒人の真似"と揶揄され、白人の権力者たちから敵視された。踊らずに歌う約束で立ったコンサートで反抗的に歌い踊り、逮捕されるエルヴィス。
エルヴィス・プレスリーがどんな存在だったのか、よくわかる映画でした。見てよかったです。ただ、この映画の主人公がエルヴィス・プレスリーなのか、トム・パーカー大佐なのかは、微妙なところ・・・。
音楽におけるプレスリーの立ち位置が、よくわかりました。彼の一家は、黒人居住区の白人用住宅に間借りしていた。そこで育って、黒人音楽が体の中に流れていたので、白人のカントリー&ウエスタンと黒人のR&Bを自分の中で融合させることができた。
そして、女性がキャーキャーいう男性アイドルの先駆者になった。“Pelvis Elvis”という言葉の
Pelvisが骨盤の意味なんです。骨盤踊りのエルヴィスと呼ばれたわけです。下半身を小刻みに揺らす踊りで、女性が熱狂するのです。
エド・サリヴァン・ショーに出たプレスリーの動画があったので貼っておきます。とても奇妙。
腰の上ぐらいまでしか、画面に写らない。証明写真みたいに胸の上くらいまでのアップの映像でエルヴィスが歌ってる。エド・サリヴァン・ショウってお堅い番組だったんですかね。エルヴィスの下半身を写すな、ってことだったんでしょう。
そして「パーカー大佐」と呼ばれるアメリカ国籍も持たない山師というか詐欺師と言っていいのか・・・。エルヴィスのマネージャーをエルヴィスが死ぬまで務めた。エルヴィスが海外公演をほぼしなかったのは、このパーカーにパスポートが作れなかったかららしいです。
近く、水原一平と大谷翔平の関係のように、パーカーのプレスリーという金ズルを支配し搾取する強欲さ。違うのは、大谷翔平は水原と別れてもやっていけたが、プレスリーはパーカーなしではやっていけないお金に関する無知無能さ加減。
プレスリーは、生活能力は無能であったけれど、音楽的才能はあったし、何よりも愛の人。両親を愛し、妻と娘を愛し、家族よりもファンを愛した。
パーカーをトム・ハンクスが演じてますが、最後にクレジット見て、どこに出てたんだろうと思ったぐらい顔が違いました。詰め物してたんですね。名演技でした。