天国から来た大投手 十三、最後の一球 242 | 六月の虫のブログ

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十三、最後の一球

 森次郎達、ソックスのワールドシリーズでの対戦相手は、セントルイス・カージナルスを破ったワイルドカードのヒューストン・アストロズに決まった。浩輔も森次郎もセントルイスの方が戦い難いと思っていたので、少しホッとした。アストロズには、浩輔が憧れている『ロケット』クレメンツがいる。ロケットは、四十才を過ぎても防御率のタイトルを取るなど年令を感じない活躍をしている。浩輔は、ロケットの体力や気力維持の能力の高さを尊敬している。四十才でも百六十キロの速球を投げられるのだ。森次郎は、自分の夢や目標に向かって最善を尽くすことが大切だと思っている。ロケットは、他の選手が遊んでいる間もトレーニングを欠かさない。人生は、厳しい道を行くのか、楽な道を行くのか、その二者択一で簡単に結果が変わる。人間の経済的な差や能力的な差は、その選択の差が起因する。ロケットは「ゲームで投げている時が一番楽しい。そのために苦しいトレーニングをしているのだから」と言ったことがある。楽しみの影には苦しみがあるのだ。

 リーグチャンピオンに輝いたその日、森次郎は監督のオジーからワールドシリーズの初戦に先発するよう言われていた。浩輔は夢にまで見た舞台で投げることができると思うと、感無量だった。森次郎は、三、四、五戦のどれかに投げたかった。ナショナルリーグのアストロズ主催ゲームでは、指名代打はなく投手も打席に立てるからだ。




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