天国から来た大投手 十二、ワンダーボーイ 213 | 六月の虫のブログ

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翌朝、目を覚ましてしばらくすると、浩輔が現れた。森次郎があいさつすると、浩輔はベッドに座って話し出した。「モリ、ジミーとスカイブルーの半ズボンをはいたトーマスに叱られたよ。モリを迷わせるようなことを言うなってね」。森次郎が向かいのソファに座ると、浩輔が口を開いた。森次郎は、浩輔がトーマスの半ズボンの色を覚えていたことと彼の表情が柔らかいので、悪い話ではないと察することができた。「今シーズン、モリが大リーグにいる間は、この世界にいさせてくれることになった。つまり、モリが上にいる間は俺も大リーグで投げられるんだ」。森次郎は、それでも浩輔といられるのはもう数ヶ月だと思うと寂しかった。「ワールドシリーズまで行ってもらわないとな」と浩輔が微笑んだ。

森次郎は、浩輔に昨晩の夢について話した。浩輔が「へぇ、ネイサンがA・ロッドね。彼を力でねじ伏せるのは簡単ではないだろうな」と言うと、森次郎は「浩輔さん、三日後のヤンキース戦が楽しみになってきました」と明るく振舞った。浩輔はテーブルの上にあるヤンキースのスカウティン・レポートを熟読した。森次郎も浩輔と一緒に予習した。

森次郎は、シャーロットのデーゲームに四番ライトで出た後、シカゴに飛んだ。空港で出迎えてくれた広報担当者は、森次郎を一流ホテルに連れて行った。チームは西海岸に遠征中で、翌日シカゴに戻る予定だ。森次郎は翌日の練習からチームに合流することになっていた。広報がホテルの森次郎の部屋から出て行くと、浩輔が現れた。浩輔はキングサイズの大きなベッドに腰掛けると、「豪華な部屋だな。セミスイートだよ。3Aと大リーグでこんなに差があるとは」と驚いていた。森次郎が冷蔵庫からダイエットペプシを取り出すと「このホテルはペプシ派だ」と言って蓋を開けた。浩輔は、真顔に戻りヤンキースのスカウティング・レポートについて説明し始めた。二人は二時間ほど打ち合わせ、森次郎は眠りについた。




         シカゴのホテル(フリー画像より)