天国から来た大投手 十一、卒業 202 | 六月の虫のブログ

六月の虫のブログ

ブログの説明を入力します。

翌朝、森次郎、美盤、彼らの両親、弘子一家とジュディの八人は二台の車で、ハイウエイ・ワンをサンフランシスコに向かって北上した。八人は、森次郎の父がロバートソンを卒業した二十七年前に寄った元ヒッピーがやっているアートギャラリーやレストランを訪れた。森次郎の父が持参した写真と比べても、建物は二十七年前とほとんど変わっていない。店主達にそれらの写真を見せると、彼らは懐かしそうに森次郎の父と抱き合う。店主達は覚えていなかったが、写真に感動していた。森次郎は、まだ同じ場所で店を開いている店主達に驚いた。

両親達がホテルにチェックインした後、弘子と彼女の両親を残して、ジュディの実家に向かった。吉野一家はマッケンジー夫妻の出迎えを受け、リビングルームに通された。マッケンジー家に泊まる予定の美盤と森次郎は、自分達の荷物をゲストルームに持っていった。「吉野さん、モリも美盤も素晴らしい子供達です。娘のジュディにとっても私達夫婦にとっても、二人は特別な存在です。どうか、これからもよろしくお願いします」とジュディの父、ジョン・マッケンジーが言った。「ありがとうございます。ジュディは美盤の大親友で、森次郎にとっても特別な存在だと承知しています。二人はご夫婦のことを尊敬していますし、感謝しています。特に森次郎は、お二人に代理人や親友のネイサンのことでいろいろお世話になっていると聞いています。ありがとうございます」と森次郎の父親が答えた。

マッケンジー家と吉野家の七人は、マッケンジー家行きつけのフレンチ・レストランで食事をした。ギャルソンは、森次郎に親しそうに声を掛けるし、森次郎もどの料理がおすすめかを両親に説明している。森次郎の父親は、森次郎がこのレストランに何回か来ていることを察した。「ドクター・マッケンジー、そしてマッケンジー夫人、森次郎に親切にしていただいて本当にありがとうございます」と再度お礼した。「私達はモリのことを息子同然に思っています。モリと娘がこれからどのように付き合っていくのかは分かりませんが、私達は暖かく二人を見守っていくつもりです」と母親のマーサが言った。「これからは女性も含めていろいろな誘惑がモリを襲うかもしれないが、私は彼を百パーセント信頼しています」とジョン、森次郎は「ジョン、マーサ、僕はジュディを愛しています」と堂々と言った。森次郎の両親は少し驚いた表情を見せたが、美盤やジュディの両親は笑顔でうなずいた。ジュディはテーブルの上にある森次郎の右手の上に、彼女の左手を静かに重ねた。




           フリー画像より