天国から来た大投手 八、小さな友人 115 | 六月の虫のブログ

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森次郎は、学校に電話してこの夜も外泊すると届け出た。この日は試合の直後ということもあり、浩輔ともトレーニングの約束はせず、完全な休養日となっていた。森次郎は、ジュディと一緒にいないと、耐えられそうにもなかった。ジュディも本当はそのつもりで来ていた。森次郎は今更ながら二歳年上のジュディを頼もしく思った。二人は、カーメルのカフェで遅いランチを食べた後、ペブルビーチのセブンティーンマイルドライブにあるローンサイプレスを見に行った。切り立った岸壁に、一本だけ立っている松の木で、ペブルビーチのシンボルになっている。

森次郎は「ローンサイプレスを見るのは二回目だけど、何か不思議な感じがする木だね」とジュディに言った。ジュディは「うん、何かたくましい気がする。「私は一人でも大丈夫よ。この強い風にも耐えられるのよと言っているような感じがする。セコイアパークでジャイアントレッドウッドを見て、その大きさに感動したけど、生きる力をこれだけ感じる木は見たことないわ」と言った。森次郎は「一本だけで立っているというのが、そう思わせるのかなあ」と答えた。ジュディは「そうね。そう思うと、私達は幸せね。私達は、一人じゃないから」と言うと森次郎にキスを求めた。森次郎は、ジュディを愛しく思い「アイラブユー、ジュディ」と自分の方から言ってキスをした。ジュディはキスをしながら、涙を流した。目を開けていた森次郎は、キスを止め「どうしたの」と尋ねた。ジュディは微笑みながら「モリからアイラブユーと言ってくれたので、嬉しかったの」と答えた。二人は、ローンサイプレスの前で再び唇を合わせた。

モーテルに戻ると、二人は愛を確かめ合った。セックスが終わると、森次郎は、またネイサンのことを思い出した。森次郎は「ねぇ、ジュディ、ネイサンは、あのローンサイプレスよりも生命力があるよね」と呟いた。ジュディは「そうね。でも、とりあえずネイサンのためにも、金曜日の決勝戦は勝たないとね。私も、今度はお邪魔虫の美盤も一緒に応援に行くから、頑張ってね」と励ました。




       ローンサイプレス(フリー画像より)