天国から来た大投手 八、小さな友人 114 | 六月の虫のブログ

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「ママ」。ネイサンが目を覚ましたようだ。三人は涙を拭い、平静を装った。ジュディがまず「おはよう、ネイサン。君のおかげでモリとデートできたわ。ありがとう」と言った。ネイサンは「お姉ちゃん、モリはいい奴だろ。これからもモリのことよろしくね」と言った。森次郎は、部屋の隅に行って泣き続けた。メグは「モリが、金曜日の決勝戦には来てくれるのかって」とネイサンに訊いた。ネイサンは「モリ、そこにいるんでしょ。僕の病気のことママから聞いたみたいだけど、僕は大丈夫だよ。金曜日はサイドラインで一緒に戦うよ」と元気な声で言った。森次郎は涙を拭いながら「ネイサン、君のおかげでジュディとデートできたよ」と言った。ネイサンは「それはさっきお姉ちゃんから聞いたよ。で、どうだったの。キスはしたの」と言った。森次郎は「まあね。ありがとう」と答えた。ネイサンは「ありがとうは、お姉ちゃんに言いなよ」と言って微笑んだ。

ジュディと森次郎は、ネイサンやメグと少し雑談した後、病院を出てカーメルの砂浜を散歩した。森次郎は勇気を出して医者の卵のジュディに訊いてみた。「ネイサンの病気は治るの」。ジュディは「ネイサンの脳にできた腫瘍は、手術のできない場所にできていると思う。もし、手術ができるのなら、していると思うもの」と厳しい顔で言った。ジュディはネイサンの前向きさが、病気の進行を遅らせているのかもしれないと思った。ジュディは森次郎に「モリ、ネイサンには今までどおり接してあげて。特別扱いはだめ」と言った。




        カーメル・ビーチ(フリー画像より)