十六歳のアメリカ 1977年 夏 三四、シルビア 137 | 六月の虫のブログ

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 六月の終りから七月の初めにかけて、イリノイ州北部に交換留学しているロータリーの留学生たちと九日間の旅行に行くことになった。これはロータリー・クラブが、各国の留学生の交流を図るために企画したもので、毎年行っているとのことだった。ボクはデイヴやマクナマラの仲間たちと遊ぶ方が楽しいと思っていたので、この旅行にはまったく期待していなかった。
 ワドリーさんの車で集合場所に着くと、既に五、六人の留学生が来ていた。そこには、以前ロータリーの行事で会ったことのあるフィリピンからの留学生、ラモーン・ロコ  (Ramon Roco) の姿があった。ボクは彼に挨拶して、ワドリーさんを紹介した。彼も彼のホスト・ファミリーをボクたちに紹介してくれた。
 全員が集合し終わったと言うことで、ボクたちは小型バスに乗り込んだ。アジアからの留学生は、ラモーンとボクの二人だけだった。交換留学生の出身国の内訳は、オーストラリアが八人、ブラジル、ボリビア、そしてコロンビアからそれぞれ二人、ニュージーランド、メキシコ、ローデシア、カナダ、フィリピン、日本から一人ずつだった。これにアメリカ人の女の子、ヘレンと付き添いのロバーツさんを加えた総勢二十二人で出発した。
 一日目の夜は、ミシガン州のホーランド (Holland) のロータリー・クラブのメンバーの一人、シンプソンさん宅にホームステイさせてもらった。この旅行のもう一つの目的は、多くのアメリカの家庭への宿泊を通して、様々なアメリカ人の暮らしを経験することだった。二日目の夜は、オーストラリアのジョン・ギャフ (John    Gaff) 、ローデシアのロブ・パプイ (Rob Pauii) 、ボリビアのロザリオ・ファルナンネス (Rosario Farnanez) とボクの四人で、デトロイト郊外のメイヤー夫妻の家にお世話になった。メイヤー夫妻宅には、彼らのお孫さん二人と彼女たちの友達二人が夏休みを利用して遊びにきていた。四対四で数は丁度いい。夕食の後、我々は四人の女の子たちを連れて、湖岸に散歩に行った。女の子の一人が持ってきたラジカセで音楽を聴きながら、星を眺めていた。一緒に来たジョンやロブは、女の子にはシャイらしい。ロザリオは、一人の女の子に的を絞ったらしく、二人は仲良く湖を見ながら、会話に熱中している。ボクの横に座っていた最年長でボクと同級生のジュリーが、ボクをダンスに誘った。ラジオは、五十年代の曲を流すステーションに合わせてあり、テンポ良いロックンロールが流れていた。立ち上がると、ボクはジュリーの手を取り、ロックに合わせて踊り始めた。ボクは彼女の手を取り頭の上に腕を持ち上げ回そうとしたが、彼女の背が高過ぎてうまくいかない。ボクは思い切り背伸びをして再度挑戦し、ぎこちないもののなんとか成功した。速い曲を二曲踊った後、スローな曲がかかった。ボクはそのままジュリーの手を離さず、彼女を抱き寄せてスローな曲に足を合わせた。ボクが腕を彼女の腰に回すと、彼女もボクの首に腕を回した。ボクの頬に彼女の頬が当たった。気分は最高だ。ボクは彼女の顔が見たくなり、腕をゆるめて彼女の顔を覗き込んだ。彼女と目が合った瞬間、ボクは彼女に顔を近づけキスをした。スローな曲が終り、速い曲になっても、お互いに唇を離そうとしなかった。ジュリーとボクは、完全に二人だけの世界に浸っていた。唇と舌の感覚がなくなるまでキスを止めなかった。この後もお互いの手をつないだまま湖の方に向かって座り、ラブシーンを繰り広げた。翌朝、ジュリーに手紙を書くことを約束してメイヤー家を去ったが、彼女に手紙を書くことはなかった。

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後列、左からロザリオ、ロブ、ジョン、そしてボク、前列の左から二番目がジュリー