十六歳のアメリカ ニュー・ファミリー 二三、感謝祭 72 | 六月の虫のブログ

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 ワドリーさんの趣味は蘭を育てることと石で装飾品をつくることだ。地下室にはランを育てる温室と石を切ったり削ったりする大きな機械があった。蘭の世話を手伝ったことはないけど、石を削ってペンダントヘッドを作ったことはある。また、初めてミーティングに参加したときに名札までつくられたので、月一回のカンカキー石加工クラブのミーティングには付き合うことになった。もちろん、ボクには石のことなんかさっぱりわからなかったので、とても退屈だった。でも、地下室で石を加工するのは結構楽しかった。ワドリーさんは石について説明してくれるが、ボクにはそれらを見てもただの石にしか見えなかった。その辺に転がっているように見える石でも磨くとすごくきれいになるものだ。


 ワドリー家はスチュワート家と異なり、毎週日曜日に教会に行く。ボクもワドリー夫婦に連れられて、毎週日曜日は教会に行くこととなった。朝九時のミサには村中の人達が集まる。ボクもスーツにネクタイでミサに出掛ける。ミサは一時間強で終わるが、神父さんの説教が始まると、ボクは睡魔に襲われた。最初のお祈りと賛美歌斉唱は何とか凌げるが、その当時のボクの英語力では、神父さんの説教に耐えることはできなかった。ミサが終わって家に帰ると、ワドリー夫人はブランチ (brunch) の用意に取り掛かる。この日は朝食抜きで、教会に出掛けるので、朝食とランチが一緒になる。ブランチには、ステーキなどのボリュームのある料理をおなか一杯食べる。ブランチの後は、各々ゆっくりと時間を過ごす。ワドリーさんは、読書をしたり、うとうとと居眠りしたりしている。また、ワドリー夫人は刺繍か編み物をしている。ボクはレコードを聴いたり、ジグソーパズルを作ったりして、時間を過ごすことが多い。まさに安息日だ。また、この日はブランチがビッグ・ミールなため夕食はなく、夕方はポップコーンを食べるだけで通常の食事はない。グローイング・ボーイもこの日は安息する。これがワドリー家での日曜日の過ごし方だ。ボクの親父が日本からワドリー家を訪れた時もこの安息日の日課が変更になることはなかった。次の朝、親父は夜お腹が空いてたまらなかったとボクに告白したが、確かに慣れないと辛い日課かもしれない。



ハーシャーにはなにもない。教会では説教の時間には寄付を入れるかごが回ってきた。ワドリーさんは毎回、小切手をそのかごに入れていた。もちろん、教会に来る人たちはみんな顔見知りだった。