十六歳のアメリカ ハイスクールの一日 一五、P.E. 35 | 六月の虫のブログ

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一五、 P.E.(Physical Education) 


 楽しい体育の時間だ。先生は、ロック・ハドソンに顔から体格までそっくりのクリーグ先生 (Mr. Krieg) だ。彼は非常に話しやすく、ボクが授業に関係ない雑談を初めてした先生だった。彼もボクに良く話しかけてくれた。夏休みが始まった頃、友達とクリーグ先生の家を訪ねたことがある。予告なしに訪ねたので本人がいるかどうかわからなかったが、ドアのベルを鳴らした。すると奥さんが出て来て先生は働きに行っていて夕方まで帰ってこないと教えてくれた。フットボールやバスケットボールの試合で何回か会ったこともあり、奥さんと顔見知りのボクたちは、彼女の勧めるままキッチンにお邪魔してポップ (Pop) をいただいた。余談だが、ポップとは炭酸飲料の俗語で、コーラ、セブン・アップ、ドクター・ペパーなどのことを総称してこう呼ぶ。中西部ではポップと呼ぶのが一般的だが、西海岸ではソーダと呼んでいる。このように同じアメリカでも、同じものを指すのに異なる単語を用いたり、表現が違うことは多い。

 キッチンの椅子に腰掛けて、雑談した。もうこの頃になると、アメリカに来て十ケ月が経っており、ボクの英語も上達していてここでの会話には十分ついていけた。先生夫婦は共稼ぎで、クリーグ先生の方は夏休みで学校がない時は、アルバイトをしているらしい。アルバイトと言っても体育を教えているわけではなく、工事現場などで肉体労働していたのだった。「先生の給料は安いのよ」と奥さんは笑っていたが、ボクはただ驚くばかりだった。アルバイトをしているのは、クリーグ先生だけではなく、他のほとんどの先生が夏休み中のサマー・ジョブを持っているとのことだ。そうしないと満足な生活ができないらしい。


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クリーグ先生。マクナマラ高校のスタジアム内にあるトラックで、この日は走高跳をした。